ヨシノボリは、比較的簡単に飼育できます。
ここではヨシノボリの基本的な飼育に必要なものと、飼うまでに必要な一連の手順を紹介します。
はじめてでも簡単です。
この記事の通りにアイテムを揃えれば、安心して飼育できます。
用意するもの
水槽、フィルター、水温計、カルキ抜き、砂利、石
の5点をまず揃えましょう。
水槽
ヨシノボリの飼育には、これがないと始まりません。
広ければ広いほど飼育可能な数が増え、水質も安定します。
しかし、数匹だけなら小型水槽でも十分飼育できます。
今回は25×25×25cmのガラス水槽に、ヨシノボリ2匹 という環境を想定します。
今回は美観を重視した、枠無しタイプの水槽を使用します。
昔ながらの枠ありタイプでも構いません。
フィルター
水槽の水を浄化する装置です。
これがないと毎日餌やフンを掃除したり、水の様子を見ながら換えたり・・・といった手間暇をかけなければなりません。
これを設置することで、そのお手入れの頻度を軽減してくれます。
要するにサボれます。
一口にフィルターと言っても様々な種類がありますが、今回は「外掛け式」を使用します。
他にもいろいろ種類がありますが、初めて飼育する場合は価格と性能のバランスからこの系統のフィルターが良いでしょう。
メーカーは特に何でも構いません。
水温計
水温が異常値を示していないか確認するために必要です。
ヨシノボリの場合、15~25℃の範囲が適正な飼育水温となります。
カルキ抜き
水道水に含まれる塩素の中和に使用します。
水道水に含まれる塩素は、ヨシノボリにとっては有害です。
ヨシノボリが安全に棲める水にするために、水槽の水はカルキ抜きで塩素を中和したものを使用します。
砂利
水槽の底に敷き、川底を再現します。
水槽に砂利を敷いておくとヨシノボリが落ち着くだけなく、水質を安定させる機能もあります。
ただし、河川等で採取した砂利は雑菌を含む可能性があるため、採集地のものであっても水槽飼育での使用はあまりおすすめできません。
観賞魚用に販売されているもの使用するのが良いでしょう。
熱帯魚用または金魚用に市販されている砂利系または砂系であれば、基本的に選り好みしません。
今回の水槽サイズでは、だいたい3Lくらい使用します。
石
川などその辺に落ちている石です。
ヨシノボリを採集した場所で採れたものであれば、なお良いでしょう。
今回の水槽サイズでは、3~5個が適量です。
石はヨシノボリにとって重要な隠れ家です。
「隙間」ができるように意識して置くと、その隙間を住みかとして入ってくれることがあります。
入ってくれないこともあります。
これら必要な飼育用品は、いずれもホームセンターなどで容易に手に入ると思います。
予算
だいたいの価格帯一覧です。
お店によって多少異なるとは思いますが、目安として。
飼育用品 | 価格帯 |
水槽 | ¥1000~2500 程度 |
フィルター | ¥1000~1500 程度 |
カルキ抜き | ¥100~300 程度 |
砂利 | ¥500~1000 程度 |
石 | ¥0(拾えば) |
合計 | ¥2600~5300 程度 |
最低限飼育に必要なものを揃えるだけなら、予算は4000円程度見積もっておくと良いでしょう。
価格最優先で揃えた場合、3000円以下で揃えられる場合もあります。
良い製品を採用する場合で多めに見積もっても、最大6000円程度あれば揃うでしょう。
セットの手順
飼育用品を揃えたら、次の手順でセットしましょう。
1.水槽を軽く水洗いします。
サッとすすぐだけで大丈夫です。
2.設置位置を決めます。
安定した水槽台が理想ですが、ある程度重量があっても歪まない頑丈な台であれば大丈夫です。
ちなみに今回の水槽サイズの場合、最終的な重量は約20~25kgくらいになります。
枠無しのオールガラスタイプの水槽の場合、必ずマットを敷きます。
(マットは大抵、水槽に付属しています。)
※オールガラスタイプの水槽など、水槽の底が直接ガラス板になっているタイプの水槽は、底の一部だけに圧力がかかると破損・水漏れの原因になり得ます。ワイヤータイプのラック、フレームタイプの水槽台などに設置する場合は注意が必要です。
置き場所が一面でなく、ワイヤーなどの場合はベニヤ板を敷くと良いでしょう。ベニヤを一枚敷くことで底一面に圧力が分散するため、このリスクを回避できます。
3.水槽を設置します。
4.砂利を洗います。
購入した砂利をバケツなどにあけ、米研ぎの要領で洗います。
バケツにシャワーで水を入れかき回し、濁ってきたら捨て、またシャワーで水を入れかき回し・・・の工程を何回か繰り返します。
砂利の元々の汚れ具合にもよりますが、最大で10回くらい繰り返せば十分でしょう。
5.洗った砂利を水槽に入れます。
そのまま入れても大丈夫ですが、計量カップなどを使うとこぼしにくくて便利です。
砂利はおよそ厚み2~3cm程度になるように敷き詰ると良いでしょう。
6.石を配置します。
軽く洗って土などを落としてから、お好みの感じで配置しましょう。
7.水を入れます。
入れた後、カルキ抜きも規定量投入しましょう。
水位は満水から3cm程度下げます。
あまりギリギリまで注いでしまうと、魚が水槽外へ飛び出してしまう事故の原因となることがあります。
水位を下げれば下げるほど飛び出し事故のリスクは減りますが、フィルターのポンプの位置より低くしてはいけません。
8.フィルターをセットし、運転させます。
フィルターは記載の説明書通りに組み立て、セットしてください。
メンテナンスの頻度などはフィルターによって異なりますが、だいたい1~2週間に1回くらいです。
外掛け式フィルターの機種によっては、外部式フィルター用のろ材をセットできるものもあります。
その場合、別途購入してセットしておくと、メンテナンスの間隔を多少先延ばしにできることもあります。
このろ材は必須ではありません。
余裕があれば用意しておくと良いでしょう。
9.仮完成
水温計を設置し、フィルターの電源を入れ、フタをします。
これで後はヨシノボリを入れるだけです。
すぐにヨシノボリを入れ飼育開始 としたいところですが、理想を言えばこの状態で1~2週間程度そのままにしておくのがベストです。
セットして直後は、水質浄化に有用なバクテリアが定着していないためです。
ただ、ヨシノボリはそこまで水質に敏感な魚ではありません。
この水槽サイズで1~2匹程度であれば、すぐに放して問題ない場合も多いです。
万全を期するなら、1~2週間ほど待ってから投入するか、あるいは熱帯魚や金魚用の市販のバクテリア剤を使用すると良いと思います。
10.ヨシノボリを入れる
ヨシノボリを水槽に放します。採ってきたヨシノボリをいきなり水槽に放してしまうと、水質の変化に驚き弱ってしまうことがあります。
これを避けるため、「水合わせ」という作業を行ってから水槽に導入します。
「水合わせ」のやり方
- ヨシノボリと水を袋に入れ、15~30分程度水槽にそのまま浮かべます。
- 袋の中の水を半分捨て、捨てた分と同量の水槽の水を入れます。
- そのまま15分程度浮かべておきます。
- 2,3をあと2回繰り返し、その後魚だけを水槽に放します。
- 減った水位は、カルキ抜きで塩素を中和した水を注いで足します。
これで完了です。
これでヨシノボリを水槽に迎えることができました。
楽しいヨシノボリ飼育の始まりです。
オプション(ライト)
より鑑賞性を高めたい場合には、ライトを付けるととても良い感じです。
ヨシノボリの飼育においては、無くても差し支えありません。
しかし、あると明るく見栄えがし、一層おしゃれな雰囲気になりますね。
日々のお世話について
水槽が出来上がってヨシノボリの暮らしを整えたら、日々のお世話が必要です。
日々のお世話には「餌やり」と「水換え」が欠かせません。
また、水温もよく見ておきましょう。
必要なもの
日々のお世話に必要なアイテムとして、次の3つを用意しましょう。
餌
餌は必需品です。
沈下性の顆粒フードが良いと思います。
水換えホース
水換えには欠かせないホースです。
「プロホース」シリーズが使いやすいと思います。
バケツ(20Lくらい)
水換え用のバケツも必須です。
20Lくらいの容量があったほうが使いやすいでしょう。
水温
15~25度が飼育に適正な水温です。
水温がこの範囲にあるか、こまめに確認しましょう。
鹿児島県の離島や沖縄県に分布する種を除き、基本的にヒーターは必要ありません。
この範囲より高い水温の場合、または低い場合は調子を崩し、病気が発生する原因になる場合があります。
日本の野外に暮らす魚なので低温には比較的強めですが、高温には弱いです。
特に夏場は注意が必要です。
餌やり
1日1~2回、餌を与えましょう。
ヨシノボリはあまり餌を選り好みしません。
熱帯魚用のフレークタイプ、または沈下する顆粒タイプのものが良いでしょう。
量は5分以内に食べきる量を与えます。
飼い始めのうちはごく少量だけ与えて様子を見ると良いでしょう。
もし食べ残してしまった場合、スポイトや網などで取り出す必要があります。
ほとんどの個体が1週間以内に餌付きますが、たまに餌付かない個体がいます。
人工飼料を食べない個体には「冷凍赤虫」を与えると、好んで食べることが多いです。
ヨシノボリの餌について、詳しくはこちらにまとめてみました。
なかなか食べてくれないときはぜひ参考にしてください。
留守のときはどうする?
ヨシノボリは比較的空腹には強い魚です。
可能であれば毎日与えるのが理想ですが、最長で1週間程度は特に餌を与えなくても耐えてくれることが多いです。
むしろ、留守前だからといって多めに餌を与えてしまうと、食べきれない餌が腐敗し水質を悪化させ、かえって良くない状況を招く恐れがあります。
2,3日旅行に出かける程度なら、出かける前に餌を与えておけばそれで問題ない場合がほとんどです。
水換え
1週間に1回、水質をきれいに保つため水を換えましょう。
水換えの際は専用のホースを使うと便利です。
水替えをする場合は、ホースの筒の部分を砂利の中に突っ込み、ポンプ部を何度か押し込みます。
すると、サイフォンの原理で吸水できます。
(詳しくは水換えホースの説明書を確認してください。)
水の勢いを調節したいときは、ホースのチューブ側を指でつまむことで弱めることができます。
指を放せば勢いが増し、つまめば弱まります。
この作業を行った翌日、または前日にフィルターのろ材の洗浄または交換を行います。
ろ材の洗浄・交換方法については、各フィルターの説明書の記載に従ってください。
「水換え」の手順
- 水槽の半分程度の水を、ホースでバケツに吸い出します。
- 排水したバケツの水を捨て、吸い出した分と同じ水温に調節した同量の水を用意します。
- 2の水にカルキ抜きを入れ、塩素を中和します。
- 3を水槽内にゆっくり注いで完了です。
他の魚と一緒に飼ってみたい
ヨシノボリはやや縄張り意識の強い魚であるため、他の魚と一緒に飼うことはあまりお勧めできません。
金魚やメダカと一緒に泳がせてみたくなりますが、できれば別々の水槽で飼育した方がトラブルが無いでしょう。
個体の性格や、レイアウトに工夫を凝らすことで、混泳が可能になる場合もあります。
途中で飼えなくなった
結論から言うと、一度でも飼育を開始した以上はその個体は絶対に野生に戻してはいけません。
採集場所でない場所への放流は遺伝子攪乱の問題を招きます。
採集場所であったとしても、飼育環境由来の未知の病原菌の拡散を招く恐れがあるためです。
途中で飼えなくなる可能性があるのであれば、そもそも持ち帰ってはいけなかった ということになります。
まずは新しい貰い手を探しましょう。
どうにもならない場合は最終手段であり手厳しいですが、殺処分すべきです。
絶対に放流してはいけません。
一度でも飼育を開始した以上は、責任をもって最後まで面倒を見ましょう。