ヨシノボリ図鑑

日本産ヨシノボリ全種の特徴をわかりやすく網羅した図鑑です。
それぞれの種類と、簡単な見分け方をまとめてあるので参考にご活用ください。

画像をクリックすると、より詳しい説明を確認できます。

本州のヨシノボリ

日本に生息している主なヨシノボリです。
比較的観察しやすい種類となります。

広域分布のヨシノボリ

身近な河川や溜め池で採れるヨシノボリは、ほとんどの場合これら8種のいずれかです。
種類の分からないヨシノボリが採れた場合、まずこれら8種から絞り込んでいくと良いでしょう。

種名分布特徴

カワヨシノボリ
Rhinogobius flumineus
本州(西日本)
四国
九州
西日本の上流河川に多く見られます。
色や模様は不定です。胸鰭の分枝軟条数が17本以下であれば本種で確定です。

シマヨシノボリ
Rhinogobius nagoyae
北海道
本州
四国
九州
沖縄
沿岸域の河川下流に多く見られます。
頬の赤いミミズ状斑が特徴です。

オオヨシノボリ
Rhinogobius fluviatilis
本州
四国
九州
海に注ぎこむ河川の上流域で見られます。
上流域に多く見られ、日本産ヨシノボリ最大種です。

ルリヨシノボリ
Rhinogobius mizunoi
北海道
本州
四国
九州
海に注ぎこむ河川の上流域で見られます。
流速のある小河川を好み、頬の青い小斑点が特徴です。

クロヨシノボリ
Rhinogobius bruneus
本州
四国
九州
沖縄
海に注ぎこむ河川で見られます。
極小河川を好み、本州では少なめです。

トウヨシノボリ
Rhinogobius sp.”OR”
北海道
本州
四国
九州
全国的に様々な環境で見られます。
尾柄部の橙色斑が特徴とされますが、持たない個体もいます。
他種の特徴と比較して、いずれにも当てはまらなければ本種です。

クロダハゼ
Rhinogobius kurodai
本州(関東)関東平野部で見られるヨシノボリはほとんど本種です。
♂でも第1背鰭が丸いです。

シマヒレヨシノボリ
Rhinogobius tyoni
本州(西日本)
四国
九州
関西、瀬戸内海沿岸の下流~止水に多く見られます。
♂でも第1背鰭が丸く、第2背鰭に縞模様が見られます。
尾鰭の下端部が赤く染まります。

地域限定のヨシノボリ

ヨシノボリには一部、特定の地域にのみ生息している種類がいます。
ある意味では「地域限定」と考えることもできるかもしれません。

本州の一部地域に分布する種は下記のとおりです。

種名分布特徴

カズサヨシノボリ
Rhinogobius sp.”KZ”
千葉県千葉県房総丘陵地帯の固有種です。
中~上流域にかけて生息し、♂の第1背鰭が伸長します。
尾柄部の橙色斑が良く目立ちます。

ビワヨシノボリ
Rhinogobius biwaensis
滋賀県滋賀県琵琶湖の固有種です。
普段は琵琶湖の奥深くに棲んでいますが、5~7月にかけて接岸します。
この時期に観察しやすいです。
♂の第2背鰭が著しく伸長します。

オウミヨシノボリ
Rhinogobius sp.”OM”
滋賀県滋賀県琵琶湖水系の固有種です。
トウヨシノボリに似ますが、♂の第1背鰭が伸長し、頬に赤い小斑点が密集します。
全国各地に移入しているようです。

トウカイヨシノボリ
Rhinogobius telma
岐阜県
愛知県
三重県
岐阜県、愛知県、三重県の固有種です。
最大でも4cm程度の小型種です。
第1背鰭の縞模様が二重に入り、頭のV字バンドが黒みを帯びます。

南西諸島のヨシノボリ

鹿児島県、沖縄県の南西諸島にのみ分布するヨシノボリも数多く知られています。
一部、本州と共通の種も分布します。

種名分布特徴

アオバラヨシノボリ
Rhinogobius sp.”BB”
※2021年以降無許可で捕獲禁止
沖縄県沖縄県(沖縄本島)の固有種です。
頬や各ヒレに模様が入らず、無地となる点が特徴です。

アヤヨシノボリ
Rhinogobius sp.”MO”
鹿児島県
沖縄県
鹿児島県(奄美諸島)、沖縄県(沖縄本島)の固有種です。
頬に青い小斑点が見られ、尾鰭の中央部にのみ縞模様が入ります。

ケンムンヒラヨシノボリ
Rhinogobius yonezawai
鹿児島県
沖縄県
南西諸島の急流域に生息するヨシノボリです。
かつてヒラヨシノボリとされていましたが、大隅諸島、奄美諸島、沖縄本島に分布するものが2020年に本種として細分化されました。
オオヨシノボリに近縁な種類と考えられており、元々同種とされていたヤイマヒラヨシノボリと外見的特徴は極めて類似します。
分布域が被らないので採集地で区別は可能ですが、形状で区別することもできます。
♂は背鰭を倒したときに第2背鰭に達する点、♀は横Y字型の斑紋が尾の付け根に入る点で区別ができるようです。

ヤイマヒラヨシノボリ
Rhinogobius yaima
沖縄県沖縄県(八重山諸島)の固有種です。
ケンムンヒラヨシノボリ同様、かつてヒラヨシノボリとされていましたが細分化されました。
石垣島、西表島に分布するものが本種とされます。
♂の背鰭を倒したときに第2背鰭に達しない点、♀の尾の付け根の斑紋は長方形または円形の黒斑が1対入る点で区別ができるようです。

シマヨシノボリ
Rhinogobius nagoyae
鹿児島県
沖縄県
沿岸域の河川下流に多く見られます。
頬の赤いミミズ状斑が特徴です。
南西諸島のものは赤いV字バンドが2本入ります。

クロヨシノボリ
Rhinogobius bruneus
鹿児島県
沖縄県
海に注ぎこむ河川で見られます。
本州ではやや珍しい種ですが南西諸島では珍しくなく、数多く見られます。

イリオモテパイヌ
キバラヨシノボリ
Rhinogobius aonumai aonumai
※2020年以降無許可で捕獲禁止
沖縄県西表島固有種です。
2022年にキバラヨシノボリから細分化されました。
腹鰭第5軟条が最初に3~4分岐(通常4)することから区別可能とされます。
西表島は比較的個体数が多いとされるようです。

イシガキパイヌ
キバラヨシノボリ
Rhinogibius aonumai ishigakiensis
※2020年以降無許可で捕獲禁止
沖縄県石垣島固有種です。
2022年にキバラヨシノボリから細分化されました。
腹鰭第5軟条が最初に2~3分岐(通常2)することから区別可能とされます。
滝上の小河川に生息し、分布は局限的なようです。

キバラヨシノボリ
Rhinogibius sp.”YB”
※鹿児島県産は2004年以降、沖縄県産は2020年以降無許可で捕獲禁止
鹿児島県
沖縄県

南西諸島の滝上の小河川に生息するヨシノボリです。
奄美諸島、沖縄本島に分布しており、島ごとに細分化される可能性があるとされます。
2022年に石垣島、西表島の集団は細分化されました。
今後、他の島の集団も細分化されていくかもしれません。

オガサワラヨシノボリ
Rhinogobius ogasawaraensis
東京都
(小笠原諸島)
東京都(小笠原諸島)の固有種です。
外観はクロヨシノボリに酷似します。

地域限定のヨシノボリに会いに行く前に

特に沖縄県をはじめとした南西諸島にはこのような種類が多く、ヨシノボリにおける多様性の奥深さを物語っています。

千葉県や滋賀県にも固有種が分布するのは興味深いところです。
これらの地域固有の種類に会うために旅を計画するのも、また醍醐味と言えるでしょう。

もし、採集した場所がこれらの固有種の生息域であった場合、候補に加えて判断してみましょう。

固有種の多くは、見つけるためにも相応の苦労が必要なことが多いです。
探しに行く場合は念入りに準備を行ったうえで探しに行きましょう。

種類によっては採集が禁止されているものや、保護区に生息するものもいます。
事前にしっかり現地情報を下調べしておきましょう。


日本産ヨシノボリ属検索表【本州編】

採集現場向けの検索表です。
採れたヨシノボリの同定にお役立てください。

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