シマヨシノボリ

シマヨシノボリ 神奈川県産

シマヨシノボリの特徴

シマヨシノボリは、日本全国に広く分布するヨシノボリです。
本種は頬に入るミミズ状の縞模様が最大の特徴で、これにより他の種類のヨシノボリと区別可能です。
繁殖期になると♀の腹が著しく青く染まる点も特徴です。

沿岸域に多く、所謂「海なし県」以外にはほぼ生息しています。

見分け方のコツ!
  • 海に注ぎ込む河川の下流では本種が採れることが多いです。
  • 頬に赤いミミズ状の縞模様があり、これがあればまず間違いなく本種です。
  • 尾の付け根に「カモメを90度横倒しにした」ような黒斑が入るのも特徴です。

繁殖期の♀はまるで熱帯魚かのような、鮮やかなコバルトブルーを呈します。

ヨシノボリの中では最も色彩が派手な種類と言えるかと思います。

比較的海に近いエリアを好み、主に下流域を中心に生息します。
同じ河川でも下流で最も多く、上流に行くほど他の種類のヨシノボリや別の魚と交代する形で少なくなるようです。

生息域では高密度で分布しており、大抵の場合1匹見つかればそのポイントには結構な数が生息していることが多いです。

本種はヨシノボリ属魚類としては一般的な両側回遊型で、稚魚は孵化すると海に下ります。
感潮域で採集できることもあり、塩分耐性の高い種類と思われます。

生息域では数が多いことが多く捕獲は容易ですが、ヨシノボリの中では人影に最も敏感に反応するようです。撮影には最も苦労するヨシノボリです。

基本情報

学名Rhinogobius nagoyae
旧名ヨシノボリ黄斑型(Rhinogobius sp.“CB”)
記載Jordan and Seale,1906
サイズふつう全長5~7cm程度。
食性雑食性。やや肉食傾向で、水生昆虫が主食と思われます。
生息環境海に直結する河川の下流域を中心に生息します。
流れは速くても緩くても生息しますが、どちらかと言えば速い方を好むようです。
海から遠いエリアや、止水環境には基本的に生息しません。
生活史両側回遊型。成魚は河川に生息し、河川で産卵します。
孵化した稚魚は海に下り、ある程度成長するとまた河川に戻ってきます。
卵形小卵型
シマヨシノボリ 評価
項目評価備考
見つけやすさ5沿岸域なら簡単に見つかります。
捕まえやすさ3素早いのでやや捕まえにくいです。
しかし個体密度は高いことが多いです。
飼育しやすさ5標準的な設備で簡単に飼育でき、丈夫です。
餌付きやすさ5人工餌にも容易に餌付きます。
気性の荒さ2ヨシノボリにしては比較的おとなしめです。
シマヨシノボリの生息環境

本種は海に注ぎこむ河川の下流域を中心に分布します。
海辺の小川であれば、高確率で分布していることでしょう。

海に近い河川であれば高確率で生息しています。
石の隙間に挟まっていることが多いです。

シマヨシノボリの見分け方

シマヨシノボリと判断する場合に見るべきポイントは次の通りです。

チェック1

頬の模様に注目します。
赤いミミズ状の縞模様が最大の特徴です。

チェック2

尾鰭の付け根の黒斑模様に着目します。

90度横倒しのカモメ状斑が見られます。

チェック3

尾鰭の模様に着目します。

縞模様が入ります。


シマヨシノボリは頬の模様が最大の特徴です。
ミミズのようにうねる赤い筋模様が確認できれば、ほぼシマヨシノボリと判断して良いでしょう。
加えて、尾柄部にカモメを90度横倒しにしたような形状の斑が入ります。
この2点を揃えていれば、ほぼ間違いなくシマヨシノボリと判定できます。

本種の判定の際は、頬の模様と尾柄部の斑を見るのが最も確実です。
海に面した県の下流域で採れるヨシノボリは、多くの場合本種でしょう。
下流で採れることが多い本種ですが、河川によっては上流で採れることもあります。

海に繋がっていない河川や、池などの環境で本種が採れることはほぼありません。


シマヨシノボリのオスとメス

♂個体

神奈川県産 ♂

♂は背鰭が尖り、伸長します。
尾の付け根の黒いカモメ状斑は目立たないことがあります。背鰭・尾鰭の模様は赤みを帯びることが多いです。

♂も繁殖期に腹が青く染まりますが、♀ほど鮮やかにはなりません。

♀個体

神奈川県産 ♀

♀は背鰭が丸く、伸長しません。
尾の付け根のカモメ状斑や背鰭・尾鰭の模様は♂より明瞭に現れ、黒みを帯びることが多いです。

繁殖期の♀の腹は著しく青く染まります。
まるで熱帯魚のようです。


シマヨシノボリの分布

分布域

北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、京都府、大阪府、和歌山県、兵庫県、岡山県、広島県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県

いわゆる海なし県 を除く全都道府県に生息します。
下流域では最も一般的なヨシノボリです。

  • 海に直結していること
  • 海にほど近い下流であること
  • ある程度の速さの流れがあること

の3点を満たしていると、生息している確率が高くなるようです。
本種が分布する河川では、上流域にオオヨシノボリ、ルリヨシノボリ、カワヨシノボリのいずれか、またはその複数が交代する形で分布することが多いです。

本種が一番多産することが多いため、この中では一番見つけやすい種類です。
本種以外の前述のヨシノボリを狙う場合は、まず先に本種を見つけるとその指標になるでしょう。


沖縄のシマヨシノボリは何かが違う?

沖縄県産
V字バンドが2本入ります。

鹿児島県本土を境界に、それ以北と以南(主に沖縄県産)のものとでは模様が少し異なることが知られています。
前者は頬の縞模様が細く、目に入るV時の赤いバンドは1本ですが、後者は頬の縞模様が太く、目に入るV時の赤いバンドが2本入ります。

このような分布域による模様の差異が見られるのは、大変興味深い現象です。


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