クロヨシノボリの特徴
クロヨシノボリは、南方の沿岸域に広く分布するヨシノボリです。
クロヨシノボリは胸鰭に三日月状の斑が入り、尾鰭には「ハ」を90度横倒しにした斑が入ります。
かつては「黒色型」とよばれ、名前こそ「クロ」ヨシノボリですが、状態が良い個体では背鰭の先端が黄色く染まります。
また、♀の婚姻色は鮮やかな黄色を呈する点から、むしろ黄色に特色がみられる種類です。
本種は比較的海に近いエリアを好み、主に上流域を中心に生息します。
魚が棲んでいるのか疑わしいほど浅く、小さな河川にも生息しています。
むしろそのような環境を好むのかもしれません。
本州ではやや見つけにくい種類で、探そうとするとなかなか出会えないヨシノボリです。
しかし沖縄方面では多数生息しており、さほど珍しくありません。
南方系の種類と言えるでしょう。
基本情報
学名 | Rhinogobius bruneus |
旧名 | ヨシノボリ黒色型(Rhinogobius sp.“DA”) |
記載 | Temminck et Schlegel,1845 |
サイズ | ふつう全長4~6cm程度。 |
食性 | 雑食性。やや肉食傾向で、水生昆虫や軟体動物を好むようです。 |
生息環境 | 海に直結している河川上流部、特に極小河川を好み生息する傾向があります。 条件に一致する河川が本州では少なく、やや見つけにくい種類と言えます。 沖縄方面では多産します。 |
生活史 | 両側回遊型 |
卵形 | 小卵型 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
見つけやすさ | 2 | 本州ではやや見つけにくいです。 |
捕まえやすさ | 2 | 素早いのでやや捕まえづらいです。 |
飼育しやすさ | 3 | 標準的な設備で飼育可能です。 |
餌付きやすさ | 3 | 人工餌にも餌付きます。 |
気性の荒さ | 3 | ヨシノボリとして標準的です。 特別荒くはありませんが、小競り合いはします。 |
クロヨシノボリの見分け方
クロヨシノボリと判断する場合に見るべきポイントは次の通りです。
チェック1
胸鰭の付け根に三日月状の黒斑が入ります。
黒斑の周囲は乳白色で縁どられることが多いです。
この黒斑は♂♀共通で見られます。
チェック2
尾の付け根には90度横倒しのハの字斑が入ります。
※体色が濃い個体では目立たない場合があり、♂では目立たないことも多いです。
♀の場合は良く目立ちます。
チェック3
尾の中央部のみに点列模様が入ります。
♀では目立ちにくく、♂で目立ちやすい特徴です。
★最注目ポイント:尾柄部の「ハ」の字斑&中央のみの点列模様
クロヨシノボリと判断するためには、複数の特徴を組み合わせて判断する必要があります。
一つの特徴を見ただけでは、なかなか本種には落とし込めないかもしれません。
胸鰭の三日月状斑、尾柄部の「ハ」の字斑、尾鰭の中央にのみ縞模様が出現する
この3点をすべて兼ね備えていた時に、本種と判断ができます。
尾鰭の模様と尾の付け根の斑点も含め、複数の確認個所を見たうえで総合的な判断が必要です。
本州の場合、狙って採集するにはやや難儀する種類です。
本種が好む環境は小河川の上流域とやや限られる傾向があります。
他の種類のヨシノボリと混生する場合は上流域に暮らすことが多いようですが、本種が優占となる環境ではむしろ海にかなり近い下流域にも数多くの個体が見られます。
そのような環境で採集したものでなければ、よく似ている「トウヨシノボリ」または「オオヨシノボリ」、「カワヨシノボリ」の線も疑ってみると良いでしょう。
特に、胸鰭の三日月状班だけではカワヨシノボリやトウヨシノボリで似た特徴を持つ個体が少なくありません。
本州ではやや見つけにくい本種ですが、南西諸島ではふつうに見られることが多いようです。
南西諸島では最も見つけやすいヨシノボリのひとつと言えるでしょう。
クロヨシノボリのオスとメス
クロヨシノボリの分布
南方系の種類で、関東以北ではあまり数が多くないようです。
黒潮の影響を受ける地域で多いと言われ、条件が合う川には数多く生息するようです。
本州では分布が局所的なようですが、沖縄県では普通に見られます。
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