オオヨシノボリの特徴
オオヨシノボリは、日本全国に広く分布するヨシノボリです。
日本産ヨシノボリとしては最大種で、採集されるサイズも大型の個体が多いです。
全長10cmを超えることも珍しくありません。
沿岸域に直結する河川の上流部に多く、所謂「海なし県」以外にはほぼ生息しています。
遡上能力が高いため、河口が海に直結していれば内陸の県で見られることもあります。
胸鰭に入る「’」状の黒斑模様が最大の特徴で、これにより他の種類のヨシノボリと区別可能です。
しかし、この特徴だけではトウヨシノボリにも一定数、この模様を持つ個体が見られるので注意は必要です。
トウヨシノボリと見分ける術として、同時に尾の付け根にI字状の黒斑を持ち合わせます。
胸鰭と尾の付け根の2ヶ所の黒点を見れば、大抵の場合どちらなのか判別はつくでしょう。
本種は比較的海に近いエリアを好みますがシマヨシノボリよりも遡上能力が高いようで、主に上流域を中心に生息します。
海に注ぎ込む河川であれば、海からかなり距離があっても採れることがあるようです。
比較的流れが強く、開けた河川を好むようです。
本種はヨシノボリ属魚類としては一般的な両側回遊型で、稚魚は孵化すると海に下ります。
大変な長距離を遡上をする種類なのでしょう。
基本情報
学名 | Rhinogobius fluviatilis |
旧名 | ヨシノボリ黒色大型(Rhinogobius sp.“LD”) |
記載 | Tanaka,1925 |
サイズ | ふつう、全長6~10cm程度。 中には10cmを超える個体もいます。 |
食性 | 雑食性。 やや肉食傾向で、水生昆虫が主食と思われます。 |
生息環境 | 河川中~上流部に主に生息します。 海に直結し、流速が速く開けた河川を好む傾向があります。 川床が岩または礫を中心として構成される環境を好みます。 早瀬の石の下に潜んでいることが多いです。 |
生活史 | 両側回遊型。成魚は河川に生息し、河川で産卵します。 孵化した稚魚は海に下り、ある程度成長するとまた河川に戻ってきます。 |
卵形 | 小卵型 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
見つけやすさ | 3 | 条件が合う河川なら見つかるでしょう。 |
捕まえやすさ | 2 | 素早いのでやや捕まえづらいです。 |
飼育しやすさ | 3 | 標準的な設備で飼育可能です。 |
餌付きやすさ | 4 | 人工餌にも比較的すぐ餌付きます。 |
気性の荒さ | 5 | 他種との混泳は難しいかも。 |
オオヨシノボリの見分け方
オオヨシノボリと判断する場合に見るべきポイントは次の通りです。
★最注目ポイント:胸鰭の黒点(「’」状斑)&尾柄部のI字型斑
オオヨシノボリは胸鰭の「’」状の斑模様が最大の特徴です。
しかし、それだけでは「トウヨシノボリ」などのヨシノボリにも見られることがあるため決定的な特徴とは言えません。
本種はもう一つの特徴である尾柄部の斑 も顕著な特徴で、オオヨシノボリであれば「I」字型の、太く縦に繋がった黒斑が入ります。
この2点を揃えていれば、ほぼ間違いなくオオヨシノボリと判定できます。
本種は名前の通り比較的大型個体が多く産する傾向がありますが、本種以外のヨシノボリでも10cmを超える種類は存在します。
また、本種でも3~4cm程度の小型個体が採れることもあるため、サイズのみで判断してしまうのはやや危ういです。
本種の判定の際は、胸鰭の模様と尾柄部の斑の2点を見るのが最も確実です。
オオヨシノボリのオスとメス
オオヨシノボリの分布
本州以南でシマヨシノボリと似た分布傾向をとります。
- 海に直結していること
- 開けた大きめの河川であること
- 下流にシマヨシノボリが分布すること
の3点を満たしていると、生息している確率が高くなるようです。
シマヨシノボリと同じ河川に生息する場合、本種が上流側に多く見られる傾向があります。
海なし県には原則分布しませんが、遡上能力が極めて高くかなり上流まで登ることが知られています。
このため、山梨県や岐阜県でも、報告例があるようです。
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