カズサヨシノボリの特徴
カズサヨシノボリは、千葉県に分布するヨシノボリです。
千葉県のみ という分布形態はなかなか個性的かもしれません。
本種はトウヨシノボリ系のグループに入る種類で、一言でいえば「頬に斑点のないオウミヨシノボリ」といった姿形をしています。
関東地方は基本的にクロダハゼが広く分布しますが、本種は千葉県の房総丘陵、つまり房総半島の山の中のエリアにのみ分布します。
千葉県であれば本種が採れる という訳でも無いようで、主に北部にはクロダハゼが分布するようです。
本種はどちらかと言えば南部に分布しており、分布域で棲み分けがなされているようです。
本種は主に上流域を中心に生息するようですが、いずれも海に流れ込む河川に生息しており、溜め池など完全に陸封化された環境には生息していないため、おそらく回遊型と思われます。
基本情報
| 学名 | Rhinogobius sp.”KZ” ※学名未決定 |
| 旧名 | ヨシノボリ橙色型、房総型(Rhinogobius sp.“OR”) |
| サイズ | ふつう全長3~7cm程度 |
| 食性 | 雑食性。やや肉食傾向で、水生昆虫が主食と思われます。 |
| 生息環境 | 千葉県山間部の中～上流域に生息します。 クロダハゼの好む環境とはかなり異なる、流水環境を好むようです。 |
| 生活史 | 両側回遊型？ |
| 卵形 | 小卵型 |
| 項目 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|
| 見つけやすさ | 1 | 千葉県の山間部にのみ生息します。 |
| 捕まえやすさ | 2 | 比較的素早いです。 河川環境が険しいことも多いです。 |
| 飼育しやすさ | 3 | 標準的な設備で飼育できます。 |
| 餌付きやすさ | 3 | 人工餌にも餌付きます。 |
| 気性の荒さ | 1 | ヨシノボリとしては温和です。 |
千葉県山間部の渓流域にのみ分布します。
一般的なトウヨシノボリに比べ、かなり険しいエリアに暮らしているようです。
本州で狙えるヨシノボリとしては、最難関かもしれません。
本種の分類について
そもそも本種が独立種として定義できるかどうかは諸説あり、トウヨシノボリに統合されるとする説もあります。
もともと本種はトウヨシノボリから分離・細分化されましたが、元のトウヨシノボリに統合すべき という見解もあるようです。
また、本州日本海側に生息する回遊型のトウヨシノボリは、本種と外見が瓜二つです。
本種の分類については様々な見解があるようですが、とりあえずは千葉県産であれば本種、その他の県で採れたものであれば、トウヨシノボリ と判定して良いのでは当サイトでは考えています。
ひとまず、本サイトでは
「千葉県房総丘陵地帯に産する」、「オスの第1背鰭が伸長する」、「頬に斑点の入らない」、「トウヨシノボリ系のヨシノボリ」
全ての条件を満たすものを、本種と定義しています。
河川水辺の国勢調査 魚類スクリーニング委員会編「水国用日本産ヨシノボリ属魚類の検索表（暫定第 1 版）」も参考にしてください。
※本種は不明点も多い種となります。
もし誤りがありましたら、コメントからご指摘いただけますと幸いです。
カズサヨシノボリの見分け方
カズサヨシノボリは上アゴが突出し、♂の背鰭が高く烏帽子状に伸長する、トウヨシノボリによく似たヨシノボリです。
チェック1
顔つきを見ます。
上顎が突出しています。
チェック２
頬を見ます。
基本的に無地です。
チェック3
♂の第一背鰭の先端を見ます。
♂は伸長し、先端が尖ります。
チェック4
♂の尾鰭の付け根を確認します。
オレンジ色の斑が入ることが多いです。
謎多きヨシノボリ
本種は一般に頬に斑点は入らず無地とされますが、生息エリアでは頬に斑点がある個体が少なからず見られます。
エラ蓋付近に、まばらに赤い斑点が見られます。
頬に斑点が見られる個体はただの個体差なのか、そもそもカズサヨシノボリではないのか、あるいはすでに交雑が発生している集団なのかは、詳細不明です。
もしかすると、交雑個体も少なくないのかもしれません。
カズサヨシノボリのオスとメス
♂個体
♂は背鰭が尖ります。
尾鰭の付け根には鮮やかな橙色斑が見られます。
第2背鰭・尾鰭は基本的に無地です。
♀個体
♀は背鰭が丸く、伸長しません。
第2背鰭・尾鰭には点列模様が入ることがあります。
カズサヨシノボリの分布
千葉県
千葉県全域に分布しているわけではないようです。
北部は主にクロダハゼが分布し、南部に本種が分布する形となるようです。
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