シマヒレヨシノボリ他採集記@近畿3府県 うおとひと2025編

どうも、サビぬきです。

今回は4月、5月に大阪府とその隣県に遠征して様々なヨシノボリを採集してきました。
というのも、5月開催の八尾市きんたい廃校博物館で開かれた淡水魚のイベント「うおとひと2025」にも出展するためです。

今回は「うおとひと2025」を軸に駆け抜けた、2つの遠征をまとめました。

うおとひと - うおとひと

4月の遠征

4月の遠征はうおとひと出展の布石的なポジションとなります。
大阪府がメインですが、今回の遠征は和歌山県からスタートします。

羽田のラーメンでスタート。
ざっくりスケジュール
  • 1日目
    南紀白浜空港着

    すさみ町エビとカニの水族館

    クロヨシノボリ採集
    シマヨシノボリ採集

    和歌山ラーメン(車庫前系)

  • 2日目
    淀川

    シマヒレヨシノボリ探索

  • 3日目
    八尾きんたい廃校博物館

    翌月イベントの下見もかねて

3回目。和歌山行くのに超便利。

まずは白浜空港に着。

今回のターゲットはクロヨシノボリとシマヨシノボリ。
そして、大阪の淀川水系のシマヒレヨシノボリです。

いずれも、5月のイベント「うおとひと」で移動水族館として水槽展示を考えており、それ目的での採集となりました。

なお、過去の遠征いずれの種もおおよそのポイントが割り出せています。
このため、採集自体は割と効率的、なはず。

すさみ町エビとカニの水族館

甲殻類専門!エビ&カニだらけの特化型水族館!

いつもは採集から始まりますが、実は今回はここへの訪問も大きな目的の一つでした。
名前の通り甲殻類専門の水族館で、多種多様なエビとカニを展示しているという、実に振り切った水族館です。

イセエビ。
テナガエビ&ヤマトヌマエビ
カブトガニ幼生。展示はレアなのだとか。

タッチプールもなかなか凝っていて、おそらくこの水族館でしか触れないであろう生き物がたくさんいました。

サメとイセエビ
水の中で触りましょう。

さらに道の駅併設なのでお土産の購入もばっちり。

タカアシガニ
オオグソクムシ
カブトガニ

タカアシガニ、オオグソクムシ、カブトガニをタッチプールで触れる水族館は全国探してもここだけかもしれません?

ここを訪れた最大の目的。
それはこのタッチプール……ではなく、「図鑑水槽」という振り切った展示スタイルに興味があったからです。

これが……図鑑水槽!
実に多種多様なエビ・カニが所せましとマンションスタイルで展示されています。
私もこういうのやりたい。

展示されているラインナップも、基本的には実にマニアックです。

メガネカラッパ
リュウグウモエビ
クメジマオトヒメエビ

これのヨシノボリ版、が将来の目標かもしれません!
ちょっとインスピレーションがわいてきました。

水族館を出た後は、併設の道の駅でちょっと買い物。
アイスを買って、川へと向かいます。

あまおう(福岡産)アイス。
かほりが芳醇。

クロヨシノボリの川

5月のイベントで展示する個体を採集しに、過去に採集実績のある川へと向かいました。

実はこの記事執筆前に、PCのデータトラブルで、2024年~2025年4月に撮影した写真の大半が吹き飛んでしまいました。

この川で撮った写真はその大部分が巻き込まれてしまったため、残念ながらほとんどの写真が残っていません。。

クロヨシノボリ 和歌山県産 婚姻色が出たメスですね。
ボウズハゼ 和歌山県産

よく見ると、なんだか見慣れない寄生虫?が鰭のあちこちに付着しています。

クロヨシノボリの胸鰭に。
ボウズハゼの第二背鰭に。

あとで教えてもらったのですが、アタマビルという名の寄生虫だそうです。
なんでも、1個体にこれだけの密度で寄生しているのは珍しいのだとか。

また、この川ではルリヨシノボリも採れました。
ルリヨシノボリはアタマビルは付着していませんでした。不思議!

シマヨシノボリの川

シマヨシノボリ たくさん

こちらも残念ながら個別の個体の写真については吹き飛んでしまったため、ありません。。

車庫前系の一杯

前回は井出系、今回は車庫前系

無事狙いのヨシノボリを採集して、お待ちかねの和歌山ラーメン。
和歌山ラーメンは大別すると「井出系」と「車庫前系」の2種類があるらしく、それぞれ特色があるのだとか。

前回は「井出系」を食べたので、今回は「車庫前系」
見た目よりもあっさり、でも豚骨をきちんと感じる仕上がりで美味でした。

どっちも好きですね~

大阪での採集

この日は大阪、淀川で採集。
淀川と一口にいっても、そのエリアは非常に広いので、なかなかエリアを絞り込むのは困難でした。

淀川を 泳いで渡る ヌートリア

いくつかよさげな場所をガサガサしてみたのですが、結局、午前中はヨシノボリは捕獲することができませんでした。

淀川は……広いっ!

ラーメンを食べて、気を取り直して午後の計画を。

午後、仕切り直して別のポイントへ。

あっ、シマヒレ。

採れました。
念願の淀川産シマヒレヨシノボリ。

ただ、♀に関しては他の地域のものと特段違いを感じません。
変化が大きいと感じるのは♂なので、♂も狙いたいところです。

淀川産 シマヒレヨシノボリ♂ 

来たッ!
これを見るために大阪まで来た甲斐があったッ!

念願の、淀川産シマヒレヨシノボリ♂を捕獲。

数は採れるが♀が多い

このポイント、ヨシノボリの数自体は結構採れるのですが、♂がなかなか採れません。
採れても採れてもほとんどが♀で、性比が偏っている印象でした。

日没前に1♂追加して撤収。

日没前、1♂追加。
目的達成として撤収します。

数は採れるがほとんどが♀……。
なんとか復元できた淀川産シマヒレヨシノボリ♂

ほとんどの写真が吹き飛んでしまったのが残念ですが、淀川産のシマヒレヨシノボリは、第二背鰭は少し大きい感じがします。

淀川本流は琵琶湖とつながっている水系ということもあり、ビワヨシノボリと何らかの関連性があるのかもしれません。

晩飯は寿司……!

下見!きんたい廃校博物館

4月の大阪遠征、最終日。

この日は会場となる、きんたい廃校博物館に寄っていきました。

きんたい廃校博物館とは

大阪府八尾市の廃校を活用した博物館施設です。
絶滅危惧種のニッポンバラタナゴ(地方名:きんたい)を中心に、生物多様性の情報発信や学びの場を提供しています。

かつての理科室をリメイクし、机や椅子、ビーカーを水槽として活用するなど、かつて学校施設であったことを活用したユニークな展示が特徴です。

毎月第3日曜日に開館し、地域の自然環境保護活動の拠点としても機能しています。
きんたい廃校博物館では、ニッポンバラタナゴが主役です。

大阪の希少種、ニッポンバラタナゴ。
ニッポンバラタナゴはドブガイに産卵する生態を持ちますが、このドブガイの幼生はヨシノボリの鰭に寄生する生態を持っています。

つまり、タナゴの産卵母貝となる二枚貝の生育には、ヨシノボリは欠かせない存在ないのです。
そしてここ八尾市では、シマヒレヨシノボリがその役割を担うようです。

シマヒレヨシノボリは今のところ大阪府内では珍しくない魚となるようですが、タナゴを守るためにはドブガイも、ヨシノボリも保全する必要があるのです。

黒板前にニッポンバラタナゴの展示も。
もちろんシマヒレヨシノボリの展示も。
八尾市ではなじみ深い、大和川で見られる魚の展示。

かつて理科室だった構造を活かした、廃校博物館ならではのユニークな展示スタイルは必見です。

理科室の手洗いスペースをサワガニ飼育槽に改造。
よく見るとオーバーフロー仕様になっているようです。ユニークな見せ方のアイデアですね。

博物館のスタッフの皆様や、館長の大橋さんとも話すことができ、翌月のイベントが楽しみになりました。

帰路へ

これにて4月の大阪遠征は一区切り。
あとは帰路に着きます。

途中で食べたのは牛骨ラーメン!
いつか行きたいと思っている、伊豆諸島の新島。

いつか行きたいと思っている新島。
上空から見ることができました。

旅の終わり。

空港から帰るときのおなじみの景色。

こうして、4月の遠征は終了。
翌月の遠征&イベントに備えます。

5月の遠征

あっという間の1か月。
すぐに遠征の日はやってきました。

ざっくりスケジュール
  • 1日目
    琵琶湖着

    ビワヨシノボリ採集

  • 淀川(急遽)

    シマヒレヨシノボリ採集

  • 2日目
    うおとひと事前設営

    水槽設営

    シマヒレヨシノボリ採集

  • 3日目
    うおとひとイベント当日

  • 4日目
    おまけの濃尾採集

    トウカイヨシノボリ採集

4月は飛行機で和歌山・大阪に向かいましたが、今回は荷物が多いため自家用車で向かいます。
ただいきなり大阪を目指すのではなく、まずは琵琶湖を目指します。

というのも、5月中旬と言えばビワヨシノボリのシーズン。
せっかくなら、展示対象として加えたかったためです。
またノンストップで大阪に向かうのはなかなかしんどいので、中継地点としてちょうどよい距離感です。

琵琶湖で知人と合流し、湖岸へと向かいました。

最初の湖岸

過去に訪れたことのない、比較的近場の湖岸にまずは向かってみました。

この場所は砂地となり、そして水が濁っているようでした。
しばらく水中を覗いてみましたが、ビワヨシノボリどころか魚の姿が全く見えません。

撤収して、次の湖岸に行くことにしました。

水草の湖岸

次に訪れた湖岸は、以前多種の水草が漂着するポイントとして、どちらかといえば水草ポイントとして覚えていた場所です。

ヨシノボリに関しては過去に観察できていたこともあるものの、少数であったため、あまり期待はしていませんでした。

水中を覗いてみると……。

いるいる。

このポイント、どうやら今年はいるようです。

さっそく網を振ってみましょう。

ビワヨシノボリ

採れました。
同行者も網を振り、どんどん採れます。

例年になく、この日は数が多いようです。

途中から小型個体はリリースしましたが、総計すると1時間もしないで2人で40匹以上は採れたのではないかと思います。

ビワヨシノボリ、たくさん採れました。

必要分だけ残してリリース。

当初、このポイントで数が採れることはあまり期待していなかったので、予定より早めの目的達成となりました。

ビワヨシノボリ 琵琶湖産

思わぬアクシデント

次のポイントに向かおうと、輸送中の展示用ヨシノボリをチェックしていると。

淀川産のシマヒレヨシノボリが1匹落ちてしまっていました。

展示用として、また個人的にも重要な個体だったためこれは痛恨。
相談した結果、ビワヨシノボリが予定より早く採れたこともあり、またもともと夕方には大阪に向かう予定であったこともあり、急遽、淀川に向かうことにしました。

なお、琵琶湖淀川水系とも呼ばれるように、琵琶湖と淀川は繋がっています。
広く見れば、同一水系だったりするのです。

琵琶湖遠征 拡張版 とも言えるような言えないような……?

夕方前に現着。
前回と同ポイントで、シマヒレヨシノボリを狙います。

しかし、着いてみると、水位が先月よりも大幅に減水していました。

前回と同じ採り方では、なかなか網に入りません。
しかし、しばらく粘っていると採れました。
そして探し方に、4月とは少し違うコツ?のようなものがあるようです。

コツを掴むと、採れるようになりましたが、♀は採れるものの、相変わらず♂が少ない……。
そして毎回、夕暮れ近くになってしまいます。

もう少し余裕をもって立ち回りたいですね。

前日設営 うおとひと

この日はイベントうおとひとのための水槽設置の日。
さっそく水槽を設置し、輸送していたヨシノボリを放しました。

幸い、初日に落ちてしまったシマヒレヨシノボリの他は、無事到着していました。

設置後は、別の知人と食事の約束があったため、一旦大阪に戻り。
その後、大阪府内の一般的なサンプルとして、ふつうのシマヒレヨシノボリを狙いに行きました。

最難関!?ふつうのシマヒレヨシノボリ

ヨシノボリではない魚種ですが、知人がかつて採集したことのあるポイントを辿りつつ……
とはいえ、採集していたのは10年近く前のことなので、記憶はおぼろげ とのこと。

ただ大阪府内なら、シマヒレヨシノボリはそれほど珍しくない魚と思われます。

何かしらの魚がいるポイントを、数を撃てばどれかしら当たるのでは? と考えていました。

ここまでたどり着くために紆余曲折ありましたが、(知人提供の採集ポイントであるため、詳細省略。)なんだかんだで捕獲できました。

しかも、この日見た中で一番汚くて臭い、ドブ川のような水路に住んでいました……。
シマヒレヨシノボリは澄んで流れのある綺麗な川よりも、濁りのある淀んだ川を好む傾向があります。

水清ければ魚棲まずとも言いますが、シマヒレヨシノボリはそんな魚の代表と言えるかもしれません。

とりあえず、日没間近に目的達成できました!

ドブ川に居たシマヒレヨシノボリ。
採集後は貝出汁のラーメンで満足!

淡水魚イベント うおとひと 2025

今回の2つの遠征は、ほぼすべてがこのイベントのため……!
私自身イベント出展ははじめてです。

今回は、個人開催の移動水族館 という形で参加させていただきました。

イベントでは、全国各地で広くみられる基本的なヨシノボリ6種に加え、大阪府で一般的なシマヒレヨシノボリ、何か違うと感じている淀川産のシマヒレヨシノボリ、ビワヨシノボリの3種を加え、計8種9枠での展示を行いました。

せっかく大阪でやるのなら……と後から追加した3集団。こいつらが特に苦労しました。
おそらく一番苦労した、大阪府内の”ふつうのシマヒレヨシノボリ”。
来場者の皆様が一番注目していたのは、オオヨシノボリでした。やはりデカさは正義?

一応グッズも出していましたが……。
私のブースはあくまでも水槽展示が主題で、グッズはついでに過ぎないのでこれでもOK。

ただ、次回はもう少し工夫してもよいかも……。

うおとひとのイベントに参加してよかったこととして、淡水魚好きの方との交流が第一です。
淡水魚のグッズ制作をしている作家さんや、保全団体さん、そして濃ゆ~いマニアックな淡水魚採集家の人々と、ディープなお話ができた貴重な機会だと思いました。

環境調査の際、ヨシノボリ類は比較的採れやすい割に判別が難しいこともあり、そんなときの私のサイトが役立っているというお声も頂きました。
このようなお声は目指していた用途の一つなので、うれしい限りです。
現状、2024年以降に撮影した写真をまだほとんど追加できていない状態なので、今後ともブラッシュアップしていく所存です。

あとは来場された方の中には、”いかにも”なタモ網や、”ガチ”なガサガサ装備で会場に来られる方もいました。この後ガサガサ行くんだろうな~と思いつつお話をしてみると、やっぱりガサガサに行くようでした。このイベントのために、九州からはるばるやってきた、という方もいました。

共通して皆さん採集が好きで、そしてそのアウトプットの仕方がいろいろある。
その差異は、まるで地域個体群の多様性のよう。

話していると、そんな印象を受けました。

また今回、私は初めてのイベント出展となったのですが、他の出展ブースを見ていて見せ方や立ち回り方など学ぶ部分も大きかったと感じました。
特に撤収周りには課題を感じたので、次回があればもう少し上手くやります。
(ご協力いただいた皆様ありがとうございました。)

私もきんぱくのように、各地で採集したヨシノボリをどこかで常設展示したいなぁ、と思うなどしました。
何年か先になるとは思いますが、実現はさせたいなぁとは考えています。

イベントを終えて

実はその後、もうちょっとだけ続きます。

撤収した後、拠点にある道具を片付けて岐阜方面に向かいました。

大変好みな煮干しラーメン!

とはいえ、大阪から岐阜まではなかなか遠いので、滋賀県で車中泊。

朝、以前にトウカイヨシノボリ推定交雑個体が採れたポイントを再訪します。

濃尾で採集

最初に採れたのはカワヨシノボリ。
トウカイヨシノボリ。こちらもきちんと採れました。
黒い模様に関しては個体差あり。しかし短めの頭部と、背鰭の黒いラインで判別可能です。
トウカイヨシノボリ♀
短めの頭部と背鰭の模様で判定できます。
比較対象としてのカワヨシノボリ♀
♀は♂に比べるとやや判別が難しいものの、顔つきと背鰭の模様で判定ができます。
河川内でも一部のエリアに密集しているみたいです。

前回訪れた際もカワヨシノボリが採れましたが、今回も同所的に生息しているようです。
しかし好む場所には若干の相違があるようで、カワヨシノボリは早瀬を好む傾向があるのに対し、トウカイヨシノボリは草の影(いわゆるボサ)を好む傾向があるようです。

そして、問題の……。

トウカイヨシノボリと何かの混ぜ物くさい?

また交雑と思わしき個体が採れました。
おそらく片親はトウカイヨシノボリとは思います。

もう片方は……なんでしょう?
トウヨシノボリやシマヒレヨシノボリとの交雑報告はあるようですが、このポイントではそれらの種は見られません。
もしかすると、カワヨシノボリとの交雑個体かもしれない?と考えています。

分枝軟条は18本のもよう。少なくともカワヨシノボリでない 可能性が高そうです。

帰路 -信濃路-

採集を終えたあとは、岐阜・長野と抜けて、帰路に着くのでした。

信濃路。一度は食べたい五平餅。
信州名物・山賊焼が入ったラーメン。
安曇野産りんご使用のソフトクリーム。

4月、5月と2回にわたる大阪遠征。
そのきっかけは淡水魚イベント、うおとひと2025。

また、現地の友人にもたくさん協力いただき、とても助けてもらいました!
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!!!

うおとひとのような淡水魚イベント、今後も機会があれば参加していきたいと思います。

2025大阪遠征、これに終幕。
次回の更新をお楽しみに!

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