どうもサビぬきです。
今回はヨシノボリを飼育する上で欠かせない「餌」についてお送りします。
※2024/7/3 主力の餌としていた「フライミックス」が終売になったため更新
ヨシノボリの餌については「比較的すぐ餌付きやすい」とも、「なかなか餌を食べてくれない」とも、様々な意見があるようです。
ここでは、私サビぬきがヨシノボリに与えたことのある餌を紹介します。
また、前提としてヨシノボリ専用の飼料は販売されていません。
他の魚種向けに開発された餌の中から、成分・特徴的にヨシノボリにも有効であろうと思われる餌をあれこれ試してみた結果となります。
ヨシノボリの餌に必要な要素
ヨシノボリの食性は、肉食寄りの雑食性です。
動物性原料を中心に、植物性原料も少々含まれる飼料が最も理想的です。
タンパク質含有量も多いほうがよく、40%以上あるものが良いかと思います。
また、基本的に底生であるため沈下性の餌を選ぶことが重要です。
ヨシノボリに与える餌を選ぶときは、この3点に留意して選びましょう。
冷凍赤虫
冷凍赤虫は採集後、最初に与える餌としておすすめです。
採集してきたばかりのヨシノボリに与える餌としては、「冷凍赤虫」が最もおすすめです。
捕獲後数日間はこれを与え、徐々に乾燥飼料や人工飼料に切り替えていくと餌付きやすいでしょう。
とても食いつきがよく栄養価が高いので、繁殖を狙う場合は産卵前に集中的に与えると、良い結果が得られるかもしれません。
製品によってサイズが様々なので、「ミニキューブなど」なるべく小さめのものを与えるのが基本です。
オオヨシノボリやルリヨシノボリなど、大型種に対しては大きめの赤虫を与えてOKです。
与え方
冷凍赤虫は与える前に解凍する必要があります。
この時、私は水槽に直接入れたりせず、水道水で解凍した後一度ネットに通し、再度水道水で洗ったものを与えるようにしています。
そのまま与えてもさほど問題はないのですが、解凍した水ごと与えると経験上、病気が発生しやすい印象が個人的にあります。
水道水ごとスポイトで水槽内に投入してOKです。
この方法だと水道水がそのまま水槽に入ってしまいますが、ごく微量であるため塩素による弊害はないものと思われます。
実際、水道水が原因と思われるトラブルに見舞われたことはありません。
注意事項
冷凍赤虫は嗜好性が高く、餌付ける上で大変有用です。
しかし、これのみを長期間与えていると栄養素が偏ると言われています。
最初の1週間くらいは冷凍赤虫を単用しても構いませんが、それ以降は時折他の餌も与えるようにしましょう。
乾燥ブラインシュリンプ
赤虫に慣れて来たら、人工飼料へと切り替える次の段階におすすめの餌です。
ブラインシュリンプ(アルテミア)の成体をキューブ状にフリーズドライした餌となります。
丸ごと1個の量は結構多いので、個体数やサイズに応じて適度に砕いて与えると良いでしょう。
ものがものだけに、当然ブラインシュリンプが主成分ですが、様々なビタミンが添加されているのもポイントです。
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キョーリン ひかりタナゴ
主力の人工飼料です。
元々タナゴ向けに開発された飼料ですが、ヨシノボリもよく食べます。
採集してきたばかりの個体にいきなり与えても食べないことも多いのですが、赤虫→ブラインシュリンプ→これ の順番に餌付けると、うまくいきやすいです。
本品は魚粉やオキアミミールでタンパク質を確保しつつ、スピルリナやモロヘイヤといった植物性成分もしっかり配合しているのがポイントです。
タンパク質は実に45%もある、高たんぱく飼料です。
これに餌付けば、基本的にはこれ単用で問題なく飼育できると思います。
ヨシノボリは肉食傾向の雑食性であるため、基本的には動物性たんぱく質が重要ですが、植物性の栄養も多少は必要です。
赤虫一辺倒ではこれが摂取できないため、そこで本品の出番となります。
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キョーリン ひかりらんちう増体用
サブで与える人工飼料です。
特にオオヨシノボリやルリヨシノボリといった大型種に有効です。
こちらはらんちゅう育成用に高脂肪・高カロリーの配合になっており、昆虫原料タンパク質であるサナギミールが配合されているのが特徴です。
ただしひかりタナゴに比べるとやや好みが割れるらしく、個体によってはあまり食べないこともあるようです。
体感、流水環境に生息する大型種は好む傾向がありますが、止水性の種はあまり好まない傾向があるように思えます。
タンパク質は53%もありますが、個体による選り好みがあるようなので、食べ残しが生じやすい点にも注意が必要です。
昆虫タンパクであるシルクワームミールが配合されているため、食べる個体には優先的に与えてよさそうですが、そうでない個体はひかりタナゴの方が使いやすいかもしれません。
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キョーリン「バイブラバイツ」
バイブラバイツはサブで与えている飼料です。
赤虫そっくりの形状をしており、水面をしばらく漂った後ランダムに沈みます。
ただしヨシノボリに関しては、沈み切ってからのほうが見つけやすいみたいです。
こちらも昆虫原料としてミルワームミールを使用していますが、主原料はフィッシュミールとなるようです。また、オキアミミールもフィッシュミールに次いで配合されている点が、昆虫タンパク一辺倒にならずバランスがよくなるかな と考えています。
赤虫によく似せた形状をしています。
オキアミミール、シルクワームミール、イカミール、小麦胚芽 の4点が着目すべき原材料と考えています。
イカミールも含まれており、クロヨシノボリとはなんだか相性がよさそうな感じもしますね。
小麦胚芽は金魚の消化に有効ですが、ヨシノボリでは・・・どうなのでしょう?
また、この製品は色揚げ効果も謳っています。
ヨシノボリに関してそこまで色揚げを意識してはいないため、あくまでもサブ使用にとどまります。
週に2,3回程度の給餌となるため、色揚げ効果はいまひとつわかりません。
こちらをメイン飼料として連続給餌すると、何か差異が現れるかもしれませんね。
赤みが強いカワヨシノボリやシマヒレヨシノボリあたりは、きれいに仕上がるかもです。
食べている様子
オメガワン ベジ ミニ ペレット
こちらもサブで与えている飼料です。
給餌頻度だけでいえば一番少ないかもしれません。
草食性の魚をターゲットとして開発された飼料であり、海藻が配合されています。
ただし主原料はサーモンやニシンとなっており、魚肉タンパク質がメインです。
この点でヨシノボリの副食として、相性が良い と考えています。
とても小粒なため、クロダハゼやトウカイヨシノボリなどの小型種でも食べやすいサイズです。
ヨシノボリの場合、メインには昆虫原料で給餌したいのですが、サブで補いたい原料をこの製品がばっちりカバーしている と考えています。したがって週当たり数回、サブで与えています。
こちらの製品にも色揚げ効果があるようです。
小粒で小型種食べやすいサイズであることに加え、水草がよく繁茂した溜め池などで見られるクロダハゼ、シマヒレヨシノボリ、トウカイヨシノボリあたりはもしかすると、これを単用しても良い結果が得られるかもしれませんね。
食べている様子
ヨシノボリの餌には昆虫原料が好相性
ヨシノボリの餌、とくに人工飼料については、餌付く餌付かない様々な意見があります。
しかし私の経験上、これなら食べる!というものを紹介させていただきました。
もし、飼育中のヨシノボリがなかなか餌を食べてくれなかったり、餌付きが悪かったりする場合には、ここで紹介した餌を試してみてください。
また、ここで紹介しなかった餌でも、「主原料が昆虫」となる飼料であれば、ヨシノボリに向いている可能性が高いかと思います。
もし、フィッシュミール系が主原料の餌でなかなか食べてくれない場合は、昆虫主原料の餌を試してみてください。
餌を見直すきっかけになったのは、次の論文に目を通してのことです。
以下、食性に関する項目を抜粋します。
食性
4種のヨシノボリ(標準体長25.0mm以上)の消化管内容物を解析した結果,源河川のヨシノボリ4種は,いずれも雑食性であった.
まず,消化管内容物中の底生無脊椎動物についてみると,4種ともトビケラ目幼虫を利用していた.さらに,シマヨシノボリ以外の3種はカゲロウ目幼虫も利用していた.
アオバラヨシノボリ(n=15)では,陸上昆虫とトビケラ目幼虫が多く,陸上昆虫の%N値は52.8%を占めた.また,カワゲラ目幼虫,甲虫目および双翅目幼虫を利用していたのはアオバラヨシノボリのみであった.アヤヨシノボリ(n=12)では,トビケラ目幼虫とカゲロウ目幼虫のみが現れた.
シマヨシノボリ(n=13)では,陸上昆虫とトビケラ目幼虫のみが現れ,陸上74平嶋健太郎・立原-憲昆虫が%N値,%W値共に80%以上を占めた.
クロヨシノボリ(n=14)では,トビケラ目幼虫,軟体動物およびカゲロウ目幼虫が現れた.
軟体動物を利用していたのはクロヨシノボリのみで,軟体動物の多くは巻貝(66.7%)であった.
なお,消化管内容物中の底生無脊椎動物の構成には,ヨシノボリ4種毎に有意な差が認められた(Freidmanの検定,P≦0.05).また,ヨシノボリ4種全ての消化管内容物に藻類が認められた.これら藻類は藍藻類(1目),珪藻類(5目),緑藻類(2目)で,合計8目が確認された.
シマヨシノボリとクロヨシノボリは8目全ての藻類を摂餌していた.
沖縄島源河川 における ヨシノボリ属魚類の分布と食性
アオバラヨシノボリは,珪藻類のディスコイデス目と緑藻類のウロツリックス目を摂餌していなかった.アヤヨシノボリは緑藻類のウロツリックス目を摂餌していなかった.
平嶋 健太郎・ 立原 一憲 より
この論文では沖縄島のアヤヨシノボリ、シマヨシノボリ、クロヨシノボリ、アオバラヨシノボリの4種について食性を調査しており、消化管の内容物を見ています。
その結果、胃内容物は主にカワゲラ、カゲロウ、トビケラ、甲虫類、ハエ、軟体動物、陸上昆虫 となっており、ほとんどが昆虫類で占められていることに着目しました。
クロヨシノボリに関しては軟体動物が占める割合が他のヨシノボリよりもやや高いものの、総括的には昆虫類を主食としている と言えると思います。
また、いずれの種の消化管からも藻類が見つかっており、このことから植物性の餌も若干必要であることが分かります。
コトブキ工芸「フライミックス 熱帯魚用」
フライミックスは私がヨシノボリの餌としてはメインで与えていた飼料です。
残念ながら、現在では終売になってしまったようです。
ミズアブの幼虫が主原料とのことで「昆虫由来タンパク質」を主成分とすることに着目し、採用しました。
私が過去様々試した人工飼料の中では、最も食いつきが良いと考えています。
また、この餌に切り替えてから産卵の発生回数も多くなった気がしています。
アオバラヨシノボリで5回以上、カワヨシノボリでも3回以上産卵させた経験がありますが、いずれもこの餌に切り替えてからのことです。
粒サイズ
フライミックスには小粒と中粒があります。
基本的には小粒が良いと思います。
ルリヨシノボリやオオヨシノボリのような大型種に関しては、中粒でも良いかもしれません。
原材料
乾燥アメリカミズアブ幼虫、サーモン、濃縮魚肉タンパク質、グリーンピース、じゃがいも、小麦、リン酸ニカルシウム、DL-メチオニン、レシチン、塩化コリン、L-リジン、ビタミンEサプリメント、ビオチン、ナイアシン、カルシウム、L-アスコルビン-2-モノホスフェート、カレンデュラ、酸化亜鉛、酸化マンガン、D-パントテン酸カルシウム、ビタミンB12サプリメント、ベータカロチン、ローズマリーエキス、リボフラビン、硫酸銅、ピリドキシン塩酸塩、チアミン硝酸塩、イノシトール、葉酸、ビタミンAサプリメント、ヨウ化カルシウム、亜セレン酸ナトリウム、ビタミンD3サプリメント
赤文字は特に着目している原料です。
乾燥アメリカミズアブ幼虫 を主原料に採用しているのが最大の特徴です。
ヨシノボリは肉食寄りの雑食性ですが、この製品はその食性によくマッチしていると思います。
この餌に切り替える前は、特に意識せず熱帯魚用の試料を淡々と与えていましたが、特に抱卵が見られたり ということはなかなかありませんでした。
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