学名 | Tridentiger brevispinis |
サイズ | ふつう全長5~8cm程度 |
生活史 | 両側回遊型、陸封型 |
ヨシノボリを見分ける際には、「ヨシノボリ以外の似た仲間」にも気を付けなければなりません。
そもそもヨシノボリで無いのであれば、何ヨシノボリかな?という判断は適用できません。
というわけでそっくりさんシリーズ第3弾。
今回はヌマチチブ を紹介します。
たぶん、ヨシノボリではない魚のうち、最もヨシノボリに間違えられやすい魚だと思います。
ヌマチチブの特徴
ヌマチチブはヨシノボリと同じ場所に生息していることが多いです。
河川でも、湖沼でもどちらでも見られ、全国各地で普通に見られます。
河川では下流域に見られることが多いですが、上流域にもいないわけではないので、上流だからヨシノボリ と決めつけるのも早計です。
湖沼ではさらに高確率で見られます。
ほとんどヌマチチブということも珍しくありません。
このため、もしヨシノボリ以外の魚とヨシノボリを間違えるとすれば、このヌマチチブと間違えているケースが多いと思われます。
実際、ワカサギ釣りのブログなどで”ヨシノボリが釣れました”と紹介されている魚は、ヌマチチブであることも少なくないように思われます。
ヨシノボリを狙っていて釣りをしても、結構な確率でヌマチチブも釣れてきます。
餌への反応は、むしろヌマチチブの方が良いぐらいです。
(食味はたぶん一緒なので、どちらでも良いのかもしれません。)
ヌマチチブの見分け方
ヨシノボリと体形が非常によく似ているため、慣れていないと区別が難しいかもしれません。
しかし、次の要素を抑えれば比較的容易に区別できます。
目の間に赤いV字のラインが入らないこと、頬に艶消しの青白い斑点が密集すること、胸鰭の付け根が橙色に染まること、の3点に着目すれば、ヨシノボリと区別ができます。
この3点は全て頭に出る特徴なので、頭を見るのが最も手っ取り早いでしょう。
特に②の特徴がルリヨシノボリとよく似ているので、最初は間違いやすいかもしれません。
しかし、見るところは上述の3か所で変わりありません。
①③の特徴はルリヨシノボリにはないので、慣れれば容易に見分けることができます。
②の斑点は似ているので誤った判定をしてしまう可能性がありますが、ルリヨシノボリの斑点は光沢があり輝くのに対し、ヌマチチブでは艶消しになる点も相違点です。
慣れると捕獲前に見分けられるようになります。
知っておくと本命のヨシノボリに備え、無駄に網を振らなくて良いため便利です。
また、本種には非常によく似た「チチブ」という魚がいます。
ヌマチチブとチチブの違いは、②の頬の斑点の密集度で見分けられます。
ヌマチチブの斑点の密度は粗めですが、チチブはさらに細かく密に入ります。
チチブはヌマチチブに比べると分布域が狭いようで、見かける機会はそう多くはないように思えます。
チチブの方がより下流に生息し、海辺に近い感潮域で見られることが多いようです。
いずれにせよ上記の特徴を参照すれば、「ヨシノボリではなく、ヌマチチブかチチブのいずれか」という点までは絞り込めます。
ここまで絞り込めれば、ヨシノボリであるか否かを識別するうえで支障はないでしょう。
ヌマチチブの飼育
ヨシノボリと一緒の飼育は基本的にお勧めできません。
ヌマチチブの方が気性が荒いため、ヨシノボリと一緒に飼育した場合、ヨシノボリが攻撃されて死んでしまう可能性が予想されます。
湖では一緒に見かけることも多く、一見仲良く暮らしているように見えます。
しかし、自然界では膨大な水量と隠れ家があるからこそ同所的な生息が成立しています。
水槽内での再現は、困難と考えた方が無難だと思います。
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