どうも、サビぬきです。
今回で13回目の採集記となりますが、10回を超えても実はまだ採集していなかった「カワヨシノボリ」を狙いに行ってみました。
しかし、今回狙うのはふつうのカワヨシノボリではありません。
「富士型」と呼ばれる、山梨県および静岡県にのみ分布する個体群を狙ってみます。
今回は用水路縛り
山梨県での採集の際に下調べして、一つ気づいたことがあります。
それは・・・。
ほぼすべての河川に漁業権が設定されている&管轄漁協がむちゃくちゃ多い!
・・・ということです。
ちょっと他の県ではなかなか見られないぐらい、複雑な管理をしているみたいです。
別に採集禁止という訳ではなく、雑魚券を買えば川に入ることはできます。
さらに厳密に言えばヨシノボリは多くの場合漁業権対象種ではなく、ヨシノボリが対象でない河川の場合は無くても採ることはできます。
しかし、川に入る行為自体が誤解を招く可能性があるため、雑魚券がある河川では一応念のため買っておいた方がベターかな とは思います。
山梨県にガサガサに行く際は、このあたりの事情を確認しておくことをおススメします。
・・・という事情もあり、今回はフリーで採集できる場所を新規開拓したかったため、農業用水路などの漁業権の設定されていない「水路」にターゲットを絞りました。
用水路、だいたい汚い・・・。
水路にターゲットを絞っているので、”それはそう”ではあるのですが、全体的に汚いです。
魚が棲めるのか怪しい場所の方が多いですね。
なおgooglemapで水路と認識されていても、現地に赴くととても魚が棲むのは無理そうなドブだったり、水が枯れていたりということも珍しくありません。
でっかい鯉が泳いでいることも・・・。
逆に、googlemapには認識されていないものの、実際には水路が存在するというパターンもあります。こればっかりは現地に赴かないとなかなか得られない情報です。
いい感じの水路
しばらく探していると、いい感じの水路を見つけました。
いくらか水草が生えており、遊泳魚が泳いでいます。
ここなら、いるかもしれません。
早速網を入れてみます。
オイカワが採れました。
遊泳魚の多くはこのオイカワのようです。
アブラハヤが採れました。
関東以北ではよく見られる魚種です。
経験上、本種は上流域を好むヨシノボリと同所的に見られることが多いです。
トウヨシノボリやシマヨシノボリを狙う場合は下流に移動した方が勝率が高まりますが、カワヨシノボリは上流にも見られるので、だとするときっといるはず・・・。
アブラハヤが採れたところで、このポイントはいる可能性が高いだろう、という確信が得られました。
もう少しガサガサしてみます。
採れました!
カワヨシノボリの♀です。
念のため胸鰭の分枝軟条数を確認してみましょう。
数えてみたところ、たぶん15本です。
多くとも17本で、18本は無いように見えます。
したがって、カワヨシノボリと判定できます。
顔もカワヨシノボリ顔ですね。
今回は「富士型」を狙っているのですが、♀の場合標準的な無斑型と見た目の区別がほぼありません。
「富士型」であることの確信を得るためには、♂を見つけないと判断ができません。
10月の採集なのですが、意外にも抱卵個体が多く網に入ります。
カワヨシノボリの繁殖期は一般的に夏であり、10月となるとほとんど産卵は終えているはずです。
しかし、富士型の場合はもしかすると繁殖期が秋にずれているのかもしれません・・・?
やっと♂が来ました!
むむっ?いやこれトウヨシノボリか?
いや、合ってました。
これが本命、カワヨシノボリ富士型 です。
この個体は顔がなんだか丸みを帯びてる感じがしますね。
また、このサイズでありながら背鰭が伸長せず、カワヨシノボリらしいフォルムではありません。
・・・ので、ぱっと見トウヨシノボリに見えるかもしれません。
これが「富士型」らしい特徴です。
しかし、富士型の♂は背鰭が伸長しません。
関東でよく見られるタイプの止水性トウヨシノボリ、クロダハゼと形態が酷似するため、一般的な無斑型のつもりで背鰭で判断すると、判断を誤ります。
一番確実な判断は胸鰭を見ることとなります。
17本以下であれば、カワヨシノボリと判断できます。
18本以上であれば、カワヨシノボリの可能性は除外されます。
16本のようです。
したがって、カワヨシノボリと判定できますね。
採り方のコツがつかめてくると、ある程度狙って網に入れることができました。
このポイントには結構な数が居るみたいです。
ポイントごとに”採り方”があるので、そのコツを掴めるようになるととても楽しいですね。
抱卵個体が多く網に入るので、途中から抱卵個体は採ってすぐリリースしました。
リザルト
♂個体
サイズがあっても背鰭が伸長せず、なかなか異質な印象です。
でも胸鰭の分枝軟条数は17本以下なので、この点で安定して見分けられます。
♀個体
♀は一般的な無斑型と比べ、特に外観上の差異はないように見えます。
山梨を満喫
なんだかんだ割と早く目標達成できたので、山梨県の観光を満喫することにしてみました。
秋の山梨と言えば、やっぱり果物ですね。
山梨グルメ
ワインの搾りかすを与えた牛肉を使っているのだとか。
締めはやっぱりラーメン
今回で、本州で見ることができる基本的なヨシノボリの採集記録は一通りあつまりました。
ですが、産地ごとに差異があったりなかったりするので、まだまだフィールドには繰り出します!
次回の更新をお楽しみに。
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