ルリヨシノボリの特徴
ルリヨシノボリは頬にある青色に輝く小斑点が最大の特徴です。
沖縄・鹿児島県離島以外でこの特徴を持つヨシノボリは本種のみであるため、比較的区別しやすい種類です。
本種は河川上流の、流れが速く水の透明度が高いエリアを好みます。
所謂「渓流」を好む傾向があり、アユと同じ河川で見られることも少なくありません。
本種はオオヨシノボリに次いで大きくなる種類で、10cmを超える個体も時折現れます。
ヨシノボリ類は縄張り意識の強い魚ですが、本種はその中でもかなり強い部類に入ります。
基本情報
学名 | Rhinogobius mizunoi |
旧名 | ヨシノボリるり型(Rhinogobius sp.”CO”) |
記載 | Suzuki, Shibukawa and Aizawa,2017 |
サイズ | ふつう全長5~8cm程度。 最大で10cmを超えることもあります。 |
食性 | 雑食性。やや肉食傾向で、水生昆虫が主食と思われます。 |
生息環境 | 河川中~上流部に主に生息します。 海に直結し、流速の速い渓流のような小河川を好む傾向があります。 川床が岩または礫を中心として構成される環境を好みます。 早瀬の石の下に潜んでいることが多いです。 |
生活史 | 両側回遊型。成魚は河川に生息し、河川で産卵します。 孵化した稚魚は海に下り、ある程度成長するとまた河川に戻ってきます。 |
卵形 | 小卵型 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
見つけやすさ | 3 | 条件が合う河川なら見つかるでしょう。 |
捕まえやすさ | 2 | 素早いのでやや捕まえづらいです。 |
飼育しやすさ | 3 | 標準的な設備で飼育可能です。 |
餌付きやすさ | 3 | 人工餌にも餌付きます。 |
気性の荒さ | 5 | 他種との混泳は難しいかも。 |
ルリヨシノボリの見分け方
ルリヨシノボリと判断する場合に見るべきポイントは次の通りです。
チェック1
頬の模様に注目します。
青く輝きのある小斑点が散在します。
チェック2
尾鰭の付け根に注目します。
90度横倒しの「ハ」の字状斑があります。
※コンディションの良い♂個体の場合、目立たないことがあります。
似たヨシノボリ
ルリヨシノボリは頬の青い小斑点が最大の特徴です。
青く輝く小斑点 を持つヨシノボリは他に「アヤヨシノボリ」が該当しますが、アヤヨシノボリは奄美・沖縄と分布が限定的で、本種と重なりません。
沖縄県以外で頬に青く輝く斑点が見られたのであれば、まず間違いなく本種と判断して良いでしょう。ただし、若い個体や♀ではこの斑点が目立たない個体も中には存在します。
加えて、尾柄部に「ハ」の字を90度横倒しにしたような形状の斑が入ります。
この2点を揃えていれば、ほぼ間違いなくルリヨシノボリと判定できます。
このため、本種の判定の際は、頬の模様と尾柄部の斑を見るのが最も確実です。
ルリヨシノボリのオスとメス
ルリヨシノボリの分布
海なし県でなければ広く分布しますが、好む河川の環境にややこだわりがあるようです。
- 海に直結していること
- 山地性の急流であること
- 河川として小規模であること
の3点を満たしていると、生息している確率が高くなるようです。
ヨシノボリの中では遡上能力は高い部類に入りますが、オオヨシノボリほど遡上能力が高くなく、小規模河川を好む傾向があります。
福島県や茨城県は海に隣接しているものの、本種が好む条件に合致する河川が少ないようで報告例が無いようです。
備考 陸封型の存在
ルリヨシノボリは基本的に両側回遊型ですが、いくつか陸封された集団の存在が知られています。
既知の報告は主に自然湖沼に陸封されたものですが、ダム建設などにより生じたダム湖に人為的に陸封されたと思わしき集団を私はいくつか発見しています。
それ以外にも、特に陸封型であることについては気にかけていないものの、ダム湖の上流河川での発見報告は散見されるようです。
このため、意外と調べると日本各地にそのような集団は点在しているのかもしれません?
新潟県のとあるダム湖の上流河川で捕獲した個体の話を、以下の記事で紹介しています。
ギャラリー
♀は頬の青斑が目立たない場合があります。
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