ヨシノボリにおける白点病の治し方

どうも、サビぬきです。

ヨシノボリを飼育していると割かしよく見るイヤなヤツ。
「白点病」の対策紹介記事です。

ヨシノボリはもともと丈夫で比較的病気に罹りにくい魚ですが、一番罹りやすい病気と言えばこの白点病になるでしょう。

基本的な治療法は金魚や熱帯魚でよく知られているものに準じますが、一部ヨシノボリ特有のポイントもあります。

白点病の治療法

単刀直入に、治療のポイントは次の通りです。

  • 早期発見する
  • 色素剤系の薬品を投薬する
  • 0.5%塩水浴を併用する
  • 水温を28℃まで上昇させる

この4点を抑えて治療すれば、大抵の場合きれいさっぱり治るかと思います。

早期発見する

なによりも早期発見が重要です。
おそらくヨシノボリが最もかかりやすい病気ですが、早い段階で発見できれば完治は難しくありません。
一方で、発見が遅ければ死に至ることも珍しくありません。

いかに早く気が付けるかが治療の成否を分けます。

トップ画像の個体だと重症レベルですね。
次の画像ぐらいで発見できれば、比較的高確率で治せると思います。

胸鰭や目に注目。このくらいの数で治療開始すれば、だいたい治ります。

投薬する

白点病に気づいたら、「メチレンブルー」系か、または「マラカイトグリーン」系の魚病薬を投薬しましょう。

投薬の際は、私は本水槽から隔離し薬浴専用の水槽を用意して行います。
薬浴させる数にも寄りますが、6匹前後なら10L前後の小型水槽1つで十分でしょう。
フィルターは必要ありません。むしろ薬効成分を吸着してしまうため不要です。
エアーポンプとヒーターは必要です。

薬浴する個体は、1匹でも白点が付いている個体がいた場合、その水槽のヨシノボリは全数対象です。
また魚の移動完了後、白点病を発症した水槽は、100%換水します。

白点病の原因は「Ichthyophthirius multifiliisイクチオフティリウス・マルチフィリス」という繊毛虫(以下白点虫)の寄生が原因です。
規制が発生する要因としては飼育水槽の水質悪化や、野外採集した個体からの持ち込みが考えられます。

白点虫が魚体に寄生して白点を形成している間は、実は魚病薬が効きません。
白点虫が増殖していく過程で魚体を離れ水中へと泳ぎ出すタイミングがあり、このタイミングで薬品が効くのです。

つまり、白点病が認められる水槽は、目に見えなくても白点虫の幼虫が蔓延していると考えて良いでしょう。
このため、白点が付いていない個体も放置すれば発症するのは時間の問題であるため、大事をとって薬浴させます。
もう一つの理由は水槽内に魚が残っていると、白点虫の増殖サイクルを断ち切れないからです。
白点虫は魚に寄生しなければ生き残れません。
魚をすべて移動した後全換水を行うのは、この幼虫を0に近い状態にリセットするためです。
(全換水しても0にはなりませんが、2週間くらい魚を入れなければ宿主がいないので、ほぼ全数が死滅するのではないか?と私は考えています。)

熱帯魚の場合では大事をとってさらに天日干しや塩素消毒など行うことがあります。
しかしヨシノボリの場合では、ここまで行う必要性は今のところ私は感じていません。
100%換水+2週間放置 で大抵十分だと思います。

薬浴の際、私は「メチレンブルー」を使っています。
投薬量は規定量でOKです。
薬品に記載の用法容量を守って正しく投入ください。

治療中。メチレンブルーを入れると真っ青になります。
メチレンブルーによる染色

白点虫を完全に駆除する場合、メイン水槽にそのまま投薬するのが効果的です。
しかしながら、メチレンブルーを投薬すると、水槽のシリコンや白い石などは染色されます。

着色を避けたい場合は、染色されても構わない隔離用水槽で薬浴させましょう。
メイン水槽は100%換水して2週間程度魚を入れなければ、またヨシノボリを入れられる状態にはなるかと思います。

もし着色が気にならないようであれば、メイン水槽でそのまま薬浴させた方が良いです。
メイン水槽で薬浴させる場合で、フィルター内に活性炭や吸着剤を入れている場合は、薬浴中は取り出しておきましょう。

ちなみに小型水槽で薬浴させる場合は、水量が少なすぎて適切に測りにくい!という場合も出てくるかと思います。

そんな時は、ペットボトルのキャップをとっておくと便利です。

キャップ1杯でだいたい5mlなので、覚えておくとどこかで役に立つでしょう。

上のメモリまででだいたい5ml。
満水だと7mlくらい。

また長期間薬浴していると、薬効が弱くなります。
目安として、1週間経過したら半量または全量を換水します。
換水する場合、新しい水の温度は治療中の水温に揃えることが重要です。

このとき魚の調子がよさそうなら半量、悪そうなら全量換えます。
鰭をピンと張っているか、行動に元気があるか、など、様子をチェックして判断します。

治療中、個体の様子は毎日観察しましょう。

薬浴期間は通常、1~2週間前後になることが多いです。
白点が全く見られなくなったら、治療終了です。
わずかでもついてるうちは続行します。

治療期間は、1ヶ月に及ぶことはめったにないものと思われます。
小型魚なので、経験上3週間以上の長期戦になると、体力的にきついことがほとんどかもしれません。

塩水浴を併用する

白点病の治療には、塩水浴の平行も有効です。
私は基本的に0.5%塩水を使用します。
投入量は水1Lにつき塩5gです。

この時使用する塩は、いわゆる「食塩」で構いません。ふつうの塩でOKです。
海水魚を飼育している方は人工海水でも代用できますが、魚病薬と併用する場合は、私は食塩が良いと考えています。
(微量元素と薬効成分が干渉しないか不安なため。食塩ならほぼ純NaClなので。)

塩水そのものに回復効果はありませんが、魚の浸透圧調節の負担を軽くすることで、その分のリソースを免疫に回せるようになります。
このため、一時的な塩水浴は白点病治療に有効となるようです。

塩分耐性が高め

なお、カワヨシノボリ、ビワヨシノボリ、シマヒレヨシノボリ、クロダハゼ、オウミヨシノボリ、アオバラヨシノボリ、キバラヨシノボリ以外のヨシノボリは全て両側回遊魚です。
稚魚期を海で過ごしているので、塩分耐性は他の魚種よりも強いようです。

基本的には0.5%塩水浴を使用しますが、重症な場合はダメもとで0.7%まで引き上げると、事態が好転するかもしれません。この場合は水1Lにつき塩7gです。

陸封型のヨシノボリは、0.5%でとどめた方が良いかもしれません。

採集直後の養生にも

塩水浴は白点病の治療のほかに、採集直後の魚の養生にも私は頻繁に使用します。
採集直後の個体の養生は、外観に異常が無ければ0.5%塩水浴のみで済ませることも多いです。

本州で採集した個体は基本的に加温不要です。
しかし私の経験上、沖縄県で採集した個体はこの養生時にも加温した方が良いです。

加温なしでは水槽に導入後、白点病を発症する確率が高いように思われます。
25℃程度で1週間程度様子を見ると良いかと思います。

水温を上昇させる

魚病薬と塩を投入したら、次はヒーターで水温を28℃まで上昇させます。
ヒーターは水温調節が可能な製品を使用してください。
また、セットしてすぐ水温を28℃に上昇させてはいけません。

1日最大2℃上昇のペースで、1日ずつ時間をかけて28℃目標で水温を上昇させます。

例えば治療開始時の水温が18℃の場合、次のように上昇させます。

経過日数ヒーター設定温度
(18℃開始時)
治療開始当日20℃
1日22℃
2日24℃
3日26℃
4日28℃

18℃から治療開始した場合、28℃まで4日間かけて上昇させます。

熱帯魚の白点病治療の場合はそのまま30℃まで上昇させることもありますが、ヨシノボリの場合では28℃を上限に留めた方が良いと思います。
日本の川魚なので、そこまで高水温に強いわけではないからです。

28℃まで上がり切ったら、以降は治療が完了するまで28℃を維持します。

ここまでの手順を踏んでいれば、概ね1~2週間後には完治していることが多いでしょう。

治療中の餌やり

ヨシノボリの場合は食い気があるようなら与えてOKです。

とはいえ白点病に罹っている個体は食欲が落ちていることも多く、食べ残す場合は水を汚す原因になるので与えないほうが良いです。

治療を開始して2~3日経過すると、薬効と水温上昇の効果が表れ、食い気が出てくるかもしれません。
食い気が出てきたら、このタイミングで冷凍赤虫を解凍して与えると良いです。

冷凍赤虫を少量、スポイトで様子を見ながら与えるといい感じです。
給餌の判断
  • 食い気がある場合:いつも通りの給餌でOKです。
  • 食い気がない場合:2日餌切りして様子見、3日目から冷凍赤虫を給餌します。
  • 冷凍赤虫を食べる場合:食べるようなら1日1回与え、白点の数が減りいつものような食い気が出てきたら、普段与えている人工飼料に切り替えます。

▼基本的な飼育方法はこちら

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