アヤヨシノボリの特徴
アヤヨシノボリは、奄美~沖縄にかけて分布するヨシノボリです。
本州のルリヨシノボリのような青い斑点が頬に入りますが、沖縄地方に生息する種で青い斑点が頬に入る種は本種のみです。このため、区別は比較的容易です。
尾鰭はクロヨシノボリによく似た模様が入り、繁殖期になると♀の腹が青く染まります。
これはアオバラヨシノボリ、シマヨシノボリの特徴と類似します。
このように複数のヨシノボリの特徴をモザイク状に持ち合わせるため、かつてはモザイク型と呼ばれていました。
本種はアオバラヨシノボリとは共通祖先を同じくする可能性があると考えられているようです。しかし、あちらは河川で一生を過ごすのに対し、本種は一般的なヨシノボリ同様、両側回遊を行います。
本種の卵のサイズは小さく、孵化した稚魚は海に下り、成長してから川に戻ってきます。
アオバラヨシノボリとは同じ河川に生息する傾向があるものの、アオバラヨシノボリが比較的上流域を中心に生息するのに対し、本種は下流~中流域を中心に生息します。
同所的に生息するエリアもあるものの、好む環境は若干異なるようです。
基本情報
学名 | Rhinogobius sp.”MO” |
旧名 | ヨシノボリモザイク型(Rhinogobius sp.”MO”) |
サイズ | 全長4~6cm程度。 |
食性 | 雑食性。やや肉食傾向で、水生昆虫が主食と思われます。 |
生息環境 | 河川中流~下流域を中心に生息します。 沖縄県では普通種で、本種の分布する河川では下流にシマヨシノボリ、上流にアオバラヨシノボリが分布することが多いように思えます。 |
生活史 | 両側回遊型 |
卵形 | 小卵型 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
見つけやすさ | 2 | 沖縄県の河川中流域で見られます。 |
捕まえやすさ | 2 | やや素早いです。 川の流れも速いことが多いです。 |
飼育しやすさ | 4 | 標準的な設備で簡単に飼育できます。 低水温に弱い傾向があります。 |
餌付きやすさ | 5 | 人工餌にも容易に餌付きます。 |
気性の荒さ | 1 | ヨシノボリとしては温和です。 |
アヤヨシノボリの見分け方
チェック1
頬を見ます。
青い斑点が入ります。
鹿児島県離島、沖縄県に分布するヨシノボリで青い斑点が入る種は、アヤヨシノボリ本種のみです。
♀では目立たない個体も少なからず存在するため、その場合は尾鰭を見ると良いでしょう。
チェック2
アヤヨシノボリは奄美~沖縄地方固有のヨシノボリです。
頬に青い斑点が入るという点でルリヨシノボリと酷似しますが、あちらは本州に生息するため生息域が被りません。
鹿児島県でも本土側であればルリヨシノボリ、離島であればアヤヨシノボリ という判断で基本的に問題ありません。
外見的特徴は似ていますが、分布域が重ならないので混同することはまずないでしょう。
本種の青い斑点は沖縄地方のヨシノボリとしては最大の特徴と言えますが、不明瞭な個体も一定数存在します。
特に♀では、目立たない個体も少なくありません。
斑点が不明瞭な場合、尾鰭の模様も見て判断すると良いでしょう。
頬の青い小斑点に次いで尾鰭の差異が見分けやすく、尾鰭の縞模様が比較的くっきり確認できるものであれば、本種と判断して良いと思います。
なお、本種のうち青い斑点が不明瞭な個体は、無許可での採集が禁止されているアオバラヨシノボリと酷似します。
判断に自信がない場合は、リリースした方が無難です。
アヤヨシノボリのオスとメス
アヤヨシノボリの分布
鹿児島県は離島のみに分布します。
奄美諸島以南に分布し、本土側には分布しません。
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