キバラヨシノボリの特徴
キバラヨシノボリは、奄美~沖縄にかけて分布するヨシノボリです。
本種は奄美群島および沖縄県各離島の河川上流の滝の上に生息します。
繁殖期になると♀の腹が黄色く染まり、それが名の由来となったようです。
黄色く染まるヨシノボリは他にクロヨシノボリがおり、本種とクロヨシノボリは近縁な関係にあると考えられています。
クロヨシノボリの共通祖先が河川上流の滝上という特殊な環境で陸封されたものが本種であると考えられています。
本種はかつてアオバラヨシノボリと一括りに「中卵型」と呼ばれていました。
カワヨシノボリほどではないもののやや大きめの卵を産み、孵化後は海に下ることなく一生を川で過ごします。
本種は鹿児島県、沖縄県の希少野生動植物種保護条例により、無許可での採捕は禁止されています。
指定以前に採集された個体は、引き続き飼育は可能です。
鹿児島県産のものは2004年に指定されているため該当はほぼ無いでしょう。
沖縄県産のものは2020年指定のため、繁殖させて累代している人はいるかもしれません?
基本情報
学名 | Rhinogobius sp.”YB” |
旧名 | ヨシノボリ中卵型 |
分布 | 鹿児島県(奄美大島、徳之島、沖永良部島)、沖縄県(沖縄本島、久米島) |
流域 | 上流 |
流れの強さ | ? |
採集難易度 | 無許可での採捕は禁止されています。 |
滝の上で独自に進化
本種は鹿児島県、沖縄県離島にある滝の上流にしかいないと言われています。
最上流域に分布するため、中流や下流には居ません。
このため会うだけでも至難の道のりが想定されます。
本種とクロヨシノボリは酷似していますが、興奮時に体側に交差する黒いバンド模様が入らない点が大きな相違点と言えるでしょう。
体側に交差する黒いバンド模様が入るものは、クロヨシノボリの可能性が高いです。
なお、本種は奄美・沖縄方面の河川上流の滝の上 という極めて特殊な環境に生息する性質上、クロヨシノボリ以外と誤って混獲 は考えにくいと思われます。
クロヨシノボリは中~下流域にも分布しており、南西諸島では珍しくありません。
一見本種のように見えても、滝の近くでなければ大抵はクロヨシノボリの可能性が高いでしょう。
キバラヨシノボリの分布
本種の分類について
本種はクロヨシノボリとの共通祖先が滝の上という特殊な環境で進化を遂げたものといわれており、しかも各離島ごとに平行進化を遂げたものと考えられています。
これは生物の進化を考えるうえで、大変興味深い現象です。
本種から分離する形で、2022年に石垣島産のものが「イシガキパイヌキバラヨシノボリ」、西表島産のものが「イリオモテパイヌキバラヨシノボリ」に細分化されました。
今後、他の島のものも精査されていくのかもしれませんね。
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