シマヒレヨシノボリ採集記@和歌山県 南紀シマヨシ&陸封クロヨシのおまけ付き

陸路は長距離運転がしんどいので、今回は空路で。

どうも、サビぬきです。

今回の遠征先は和歌山県。
きっかけは、twitterの投稿で、「〇〇水系のシマヒレヨシノボリは普通のシマヒレヨシノボリと雰囲気が違うらしい」という投稿を見かけ、前々から気になっていました。

ホントはこの夏、岡山県でスタンダードなシマヒレヨシノボリを狙うことも検討していましたが、諸般の事情により没に・・・。
そんなワケで、今回はこちらのシマヒレヨシノボリを先に、メインターゲットとして遠征してみました。

また、同じく和歌山県産のもので確認したいことがあったので、今回はシマヨシノボリも狙ってみます。

和歌山県までの道のり

関東から和歌山県は静岡、愛知、三重と長距離運転がしんどいです。
なので、今回は空路を選択しました。

機窓から見える三河の離島、篠島(左)&日間賀島(右)
篠島は何年か前に訪れたことがあります。

空港で、今回の遠征の協力者の方と合流し、早速川に向かいます!

メインターゲットはシマヒレヨシノボリですが、1日目は南紀方面の河川でシマヨシノボリを狙うことにしました。

1日目は南紀の川で

和歌山県の遠征を、9月下旬に選んだのは理由があります。

毎年9~10月にかけて、和歌山県南部の河川では、死滅回遊魚として沖縄系の魚たちが見られることが知られています。

和歌山県のほかにも千葉県、静岡県、高知県などでも同じように本来南方に分布する死滅回遊魚が見られるのですが、ここ和歌山県ではなんと淡水魚も南方種が現れることがあるのだとか。

シマヨシノボリは本州系と沖縄系で外見が異なるので、もしかすると沖縄系のシマヨシノボリも見られるのではないか?という淡い期待を抱いてきてみた感じです。

一般的なシマヨシノボリ。目にかかるV字バンドは1本。
沖縄県産シマヨシノボリ。目にかかるV字バンドが2本。

1本目の川

川で食べる焼き鯖寿司!
謎の福井県的チョイス!

出発前、空港で北陸フェアみたいなイベントをやっていたのでお弁当はなぜか福井県がテーマにwww

南紀の川で食べる福井のご飯もまた、オツなものです。

軽く腹ごしらえして、早速網を入れてみると・・・。

なんかのエビ!

とにかくたくさんエビが入ります。

採集した当初は「ミゾレヌマエビ」かと思いましたが、後で無印の「ヌマエビ」であると教えてもらいました。

観賞魚ルートで「ミゾレヌマエビ」の名で販売されるエビはほぼこの「ヌマエビ」らしく、それで気づけなかったのだと思います。

アクアリウムではおなじみ。

またしばらく網を振っていると、少し違うエビが。

これは、ヤマトヌマエビ!

熱帯魚や水草などをいい感じにレイアウトして楽しむタイプのアクアリウムをやったことがある人ならおなじみのコケ取りエビですね。

どっちかっていうと渓流のような環境を好む傾向があり、いわゆる水草水槽で飼育されるような環境とは全然違う環境に生息していることが実感できました。

いるところには居ると聞いていましたが・・・。
採集は初めて。良い体験になりました。

ついにヨシノボリが!

やっとヨシノボリが入りました!

これは・・・クロヨシノボリ!

本州では少し珍しいヨシノボリです。
今回のメインターゲットではありませんが、ひとまずヨシノボリとの初遭遇にテンションが上がります!

なんか小さくてかわいいやつ!

小型の♀も採れました。
箱メガネで水中を覗いてみると、どうもこの川はクロヨシノボリだらけのようです。

クロヨシノボリの貴重な捕食シーン

砂の中の川虫か何か、獲物を捕らえる一部始終を撮影できました。

他にはカワムツ、ヒラテテナガエビが採れました。
これらはちょっと流れのある川であれば、和歌山県以外でも普通に見られる生き物ですね。

カワムツ
ヒラテテナガエビ

2本目の川

・・・とはいえ、クロヨシノボリだらけなので別の川に移動します。

こちらでも網を入れてみると・・・。

クロヨシノボリ♂
クロヨシノボリ♀

やっぱりクロヨシノボリ。
和歌山県南部の河川上流域では、クロヨシノボリが多いみたいですね。

今回、和歌山県南部での狙いはシマヨシノボリ。
少し上流過ぎるのかもしれません。

もう少し下流に下ってみましょう。

2本目の川 下流部

下流に行くと、魚の雰囲気がガラッと変わりました。
目視でボウズハゼがたくさん見えます。

中にはヨシノボリらしきシルエットも。

という訳で網を振ってみましょう。

ゴクラクハゼ。
黒みの強い別個体。

ゴクラクハゼが入りました。
他には、目視できたボウズハゼも。

ボウズハゼ。

上流にクロヨシノボリが分布し、下流にゴクラクハゼが分布する川は、ちょっと上流に登ればシマヨシノボリの確率が高いと経験上考えています。

これは・・・近いっ!

そしてまた、網の中にヨシノボリ的なシルエットが!

来たッ!シマヨシノボリ!(本州では珍しくない)
念願の和歌山県南部産シマヨシノボリ!
同一個体の反対側。おや、顔のライン・・・?
2本ある・・・気がする?

全体的な雰囲気は本州の至ってふつうのシマヨシノボリ・・・に見えますが、見ようによってはV字ラインがもう1本あるかのように見える個体でした。

結局、この場所ではこの1個体しか採れずにタイムアップ。(日没)

1匹だけだと何とも判定できないので、次回、もうちょっと精査してみたいですね。

この画像は種子島産のシマヨシノボリ。雰囲気が近い・・・?

どことなく、種子島産のシマヨシノボリと雰囲気が近いかもしれない?
という印象を受けました。

日没を迎えたので、紀南編はここまで。
次回は、もう少し別の川でもガサガサしてみたいところです。

和歌山に来たので和歌山ラーメン!

せっかく和歌山に来たので。

和歌山に来たので、ガサガサ後の夕食は食べたかった和歌山ラーメン!

醤油豚骨ベースなラーメンですが、横浜家系のそれとは違ってあっさりした印象です。
どっちかっていうと昔ながらの「中華そば」寄り。

美味しくいただいて、明日は本命のシマヒレヨシノボリを狙ってみましょう。


2日目は和歌山県北部

この日が大本命!
和歌山県北部でシマヒレヨシノボリを狙います。

その性質上、ため池に繋がる河川や用水路が良いんじゃないだろうか・・・?
とアタリをつけて、狙ってみます。

1本目の川

川というより、用水路みたいな・・・?

ため池の下流に位置するポイントで、水面を見た感じシマヒレ好みな環境です。
水面にはメダカもたくさん泳いでいるような・・・?

早速、網を入れてみましょう。

カダヤシ♂
カダヤシ♀

カダヤシじゃねーか!

上から見たところメダカに見え、同行者の方も野生のメダカが見たいと言っていたので、最初はメダカかと思いぬか喜びしました()残念!

一方で、この時特定外来生物の注意喚起記事を作成中だったので、写真素材としてはちょうど良かったです。そう、カダヤシは特定外来生物なので、持ち帰ることはできません。
なので、採集した現場その場で撮るほかないのです。(それか水族館で撮るか)

ぱっと見メダカにそっくりなので、メダカと間違えて持ち帰らないように注意が必要です。
尻ビレを見ると、一発で見分けられますよ。

カダヤシはもうおいといて、引き続きガサガサを続けてみます。

ドジョウ。黒斑が目立つので、おそらく在来系統?
フナ類のなにか。
ウキゴリ。第一背鰭の後方が黒い。ここが透明だとスミウキゴリです。

いそうでいない、シマヒレヨシノボリ。
ウキゴリが採れているので、環境的には間違っていないと思うのですが・・・。

と、その時。

あっ、シマヒレ。

採れました!
シマヒレヨシノボリです。

第2背鰭の縞模様がその名前の由来なのですが、このサイズでもくっきりと目立ちますね。

その後しばらく粘って、3個体捕獲できました。

体色薄め。たぶん♀かな?
色の濃い個体。こちらは♂っぽい?

数は少ないものの、とりあえず最低限の目標は達成!

別の川に移動します。

2本目の川

2本目の川は、同行者の方からのおすすめポイントのことで行ってみました。
最初の川とは同じ水系です。

何年か前に淡路島で見た川のような、イイ感じの環境です。

何かしらのカワトンボ。ちょっと水は濁っているけれど、環境自体はいい感じ。

さて、網を振るってみましょう。

ドンコ。

最初に入ったのはドンコ。
西日本では定番のハゼですね。

西日本に来たなぁってことを感じさせてくれる、良いハゼです。

まだまだ振り回します。

むむっ、ヨシノボリ!

ヨシノボリが採れました!

が、シマヒレヨシノボリではなさそうですね。

カワヨシノボリ。

カワヨシノボリでした。

この水系の個体は赤というより、若干オレンジな感じがして、全体的に黄色味が強い感じがします?

そしてよく見ると、足元に小さいヨシノボリがたくさんいました。

掬ってみると、どれもカワヨシノボリのようです。

カワヨシノボリ♀ ♀は他産地と特に違いを感じません。

このポイントでは、他にもギギやモツゴが採れました。

ギギ
モツゴ

この川で採れた魚に共通して言えるのは、全て西日本の在来種ということ。

このポイントでは外来種が全く入らなかったのも印象的でした。
典型的な、西日本本来の魚類相が残る河川と言えそうです。

3本目の川

3本目の川は、1本目の川と少し近い川を選んでみました。

川に入ろうとすると・・・むむっ、これは・・・。

これは多分野外に居ないほうが良いやつ メダカの舟の中でならいい感じなんですけどね。

ホテイアオイ。
メダカの水槽では何かと役に立つ浮草ですが、外来種ですね。

しょっぱなから、割とアレですね。

さて、網を入れてみると。

カダヤシ・・・ではなくメダカ。
濁っていて見づらいですが、尻ビレを見ると一目瞭然です。

メダカが入りました。
1本目の川ではカダヤシだらけでしたが、こちらの川はメダカが居るようです。

この日、この川はやや水の濁りが激しく、撮影した写真もなんだかちょっと見づらいですね。。

ただ、同行者の方が見たいと言っていた野生のメダカを見せることができた点は良かったです。
この後、もう数匹追加がありました。

もう少し網を振ってみましょう。

ブルーギルが入ってしまった。

あちゃー。
いちゃったかー。

侵略的外来種の代表ともいえる、ブルーギルが網に入りました。
小さいうちは特徴であるエラ蓋の青い斑が目立ちません。

ブルーギルは特定外来生物に指定されているため、生きたままの持ち帰りはできません。
なんだかよくわからないスズキ系の淡水魚はブルーギルの稚魚や若魚の可能性があります。
その可能性が感じられる場合、持ち帰らないようにしましょう。

最後に、ヨシノボリが網に。

シマヒレヨシノボリかな。

1匹採れたのでテンションが上がってもう少し網を振ってみましたが、このポイントでは結局この1匹だけでした。

この川に居ることには居ることがわかったので、別日に別の流域で探ってみたいですね。

また、私は同種であっても(むしろ同種こそ)産地の異なるヨシノボリは、なるべく混ぜないようにしています。なのでこの個体はリリース。

(異種の混泳は、見た目での区別が可能でケンカをしない組み合わせならOKと考えています。)

2日目も和歌山ラーメン

採集上がりはやっぱりラーメン!

2日目もラーメン!
同じ和歌山ラーメンといえど、こってり/あっさりのバランスはお店によって多少の差があるようです。

こちらは初日よりもあっさりめで、するするっと食べやす~い「中華そば」寄りな感じでした!


3日目は大阪府

早いもので、もう最終日。

最終日は大阪府で、同行者の方のおすすめポイントを巡ります。

ひとまず最低目標種となるシマヨシノボリ、シマヒレヨシノボリは、少数ながら採集はできています。
ただ、欲を言えばもう少し数が欲しいところ。

また言ってしまうと、たぶんシマヒレヨシノボリに関しては大阪府で探した方が勝率は高い気がしています。

謎の池

おそらく地元の方しか通らないであろう、道と呼ぶには若干アヤシイ感じの道。
レンタカーだったらたぶん行けないかもしれないなぁ~って感じの道を通り、到着。

その”おすすめの池”で網を出してみることにします。

と、まず目に入ってきたのは大量のウシガエル。
さらに、水面に目をやれば大量のブルーギルの稚魚!

・・・もしや、割と外来種まみれなんじゃないでしょうか、ココ?
と、ちょっとした不安が過ぎりつつも網を入れてみます。

ヨシノボリとブルーギル。

水際に近づくと、ハゼっぽい影が。
間違いない、ヨシノボリです。

環境的にはシマヒレ期待値高そうな印象?

謎のヨシノボリ

さっそく掬おうと試みますが・・・やけに速い!?

大阪の止水域で最も分布する確率の高い、シマヒレヨシノボリは一般的に動きは緩慢な傾向があります。
ところが、この池のヨシノボリは小さいくせにビュンビュン泳ぎまくる。

ヨシノボリであることには間違いなさそうなものの、あまりの速さにしばらく苦戦。
足元にそこそこの数が目視できているのに、網に入ってくれない。

最初の1匹を捕獲するまで、20分くらいかかりました。

で、採れたヨシノボリが、これ。

シマヒレ・・・?ではない気がする?

うーん、大阪産だけど、シマヒレではないかもしれない。
シマヒレかトウだと思うけど・・・。なんかヘン。

ちょっと1匹だけでは判断がつかないので、もう少し数が欲しく網を振ってみました。

アレ?この柄はもしかして。

胸鰭付け根の三日月状斑。尾の付け根の「ハの字斑」。尾の中央部にのみ明瞭な点列。
さらに上顎突出の顔つき。

まさか・・・!?
クロヨシノボリの陸封型集団じゃねーか、コレ!?

これはとんでもないものを見つけてしまったかもしれない。

和歌山県ではクロヨシノボリは珍しいものではありませんが、大阪府では分布域は限られるらしく、珍しいようです。

大阪ではふつうのクロヨシノボリですら珍しいのに、ましてや陸封型(と思わしき集団)を引き当てる確率って一体何%なんでしょう・・・。SSRかな?

そしてしばらく格闘しているとだんだん採り方のコツがわかってきて、数採れるようになりました。

なんだかんだ数は採れる。まぁ目視できる数結構いるので・・・。
実は既知の知見らしい?

この採集の後、大阪府産で陸封型と思わしきクロヨシノボリに関する論文があることを教えてもらいました。

ただ今回のポイントは、その論文とは採集した状況が異なっていたのでおそらく別のポイントだと思われました。

もしかすると2例目?なのかもしれません。

謎の水草

この採集時、よく見かける外来生物の啓蒙用記事を作成していて、ちょうど「オオカナダモ」の画像が欲しいところでした。

ついでに池に浮いていたオオカナダモを拾って撮影してみたら。

こんな感じで浮いていました。
なんかちょっと変なオオカナダモだなー?

若干の違和感を覚えつつも、まぁ表現型の可塑性か何かかな?

とこの時はあまり深く考えていませんでした。

しかしその後、twitterに投稿してみると。

ヨシノボリよりもなぜか伸びる伸びっぷり。
一体何者だったんでしょう?

その後いろいろ調べてもらったのですが、やはり実物がないことには何とも断定はできず。

詳しく調べるには、実物を採集してくるのが一番。
ちょっと引っ掛かりはあったものの、そこまで気に留めていなかったので持ってきませんでした・・・。これは持ち帰るべきでした。

この波打ち際にクロヨシノボリがいるなんて・・・。想像もできません。

そんなこんなで今回の採集は終わり。
帰路に着きます。

帰路へ

あとは道具を一通り片付けて、ゆるーく観光的な感じで行きます。

大阪の秋空。

魚を梱包する際に、沖縄や種子島などに行く際に4年間愛用した発泡スチロールが破損し役目を終えたりと、なんか色々ありました。

無事梱包も完了して、あとは帰るだけです。

道の駅で食べた炊き込みご飯。
大阪に来たならたこ焼きは外せない!
旅の最後はやっぱりラーメン。(本当は煮干しラーメンにするつもりだったものの、お土産が重すぎてたどり着けなかったらしい)
カレー味&ソーキの組み合わせが最高でした!

今回は和歌山県メインでしたが、和歌山県は思ったより広くて1回では回り切れなさそうです。
幸い、近いエリアに知人がいるのでこの先何度か訪れることになりそう。

一応今回はシマヒレヨシノボリが目的の遠征だったのですが、まさか陸封型と思わしきクロヨシノボリを大阪府内で見つけてしまうとかいう大発見によりなんかかき消された感もありますwww

今回同行頂いたF氏には感謝!

また和歌山&大阪編、今後もよろしくお願いするかもです。
たぶん、第2弾ありそうな予感・・・?

それでは今回はこの辺で!

次回の更新をお楽しみに。


リザルト

和歌山県産 シマヨシノボリ

和歌山県産 シマヒレヨシノボリ

大阪府産 クロヨシノボリ(陸封型?)

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