ウキゴリはヨシノボリと同所的に生息していることが多い小型の淡水ハゼです。
「ウキゴリ」「スミウキゴリ」「シマウキゴリ」のよく似た3種がいます。
頭部に赤いV字状のラインが入らない点で、ヨシノボリとは容易に識別できます。
ヨシノボリとサイズ感が似ているので、網に入ると誤認してしまいやすいです。ヨシノボリを狙っていると、ちょっと期待させてから落としてくるような存在です。
3種類いるウキゴリの特徴
ウキゴリには「スミウキゴリ」「シマウキゴリ」というよく似た種がいます。
3種の識別点は次の通りです。
なお、複数種が同一河川内に混生していることも珍しくはありません。
ウキゴリ
最もスタンダードなウキゴリです。
四国・沖縄以外の全国に分布しています。
3種の中では唯一陸封型も知られており、海に面していない内陸部の都道府県でも見られます。
山間の地域で採れるウキゴリは、ほとんどの場合本種でしょう。
ウキゴリ類は3種とも、婚姻色が♀に現れます。
産卵期の春になると、♀はお腹が鮮やかな黄色に色づきます。
スミウキゴリ
海辺の地域ではよく見かけるウキゴリです。
沖縄県以外の全国の沿岸域に分布しています。
海に注ぐ河川の下流域を好む傾向があり、本種が採れる河川ではシマヨシノボリも一緒に採れることが多いです。
沿岸部では普通種ですが、内陸部ではめったに見かけることのない種類と言えるでしょう。
本種は第1背鰭を見れば他2種と容易に区別できます。
第1背鰭に黒斑が無ければ本種です。
第1背鰭後半部に黒斑が無く透明なので、”澄み”ウキゴリと覚えておくと判断の際に便利でしょう。
シマウキゴリ
本州北部の沿岸域に分布するウキゴリです。
3種の中では一番珍しいかもしれません。
スミウキゴリと似た環境を好みますが、スミウキゴリに比べ流れの強い環境を好む傾向があります。
3種の中では最も急流域に適応した種と言えるでしょう。
本種の外観はウキゴリと非常によく似ています。
尾鰭の斑紋の形と、好む環境がウキゴリとは異なるのでこの2つが手掛かりとなるでしょう。
またウキゴリに比べ北方系の種となるようです。
尾鰭の斑紋はウキゴリは円形の塊状になることが多いのに対し、シマウキゴリでは90°横倒しにしたY字状に分岐することが多いです。
また、体側の斑紋もウキゴリやスミウキゴリでは不明瞭で個体差が大きいのに対し、シマウキゴリはH字状の斑紋が規則的に連なる傾向があります。
ウキゴリ類の飼育
ハゼ類としては比較的温和な性格をしており、飼育しやすい魚です。
基本的な飼育方法はヨシノボリと全く同じです。
餌も全く同じものを食べてくれます。
ヨシノボリと違うところは、「攻撃性が低くおとなしめ」である点と「中層をふわふわとホバリングする」点です。
ウキゴリはヨシノボリよりもおとなしく攻撃性も低いので、他の魚との混泳にも向いています。
むしろウキゴリが攻撃されてしまわないように注意が必要です。
ヨシノボリとケンカすると負けてしまいやすいです。
飼育する場合は石を複雑に配置するなど、隠れ家を増やすと良いでしょう。
またウキゴリは常に底層に居るわけでなく、水槽の中層をふわふわと漂うように泳ぐことも多いです。
中層に浮くごり(ハゼ)だからウキゴリ。名前の由来にもなった習性です。
水流はあっても無くても飼育は可能ですが、ウキゴリ、スミウキゴリは水流を弱めにした方がホバリングを行う本来の生態を観察できるでしょう。
一方でシマウキゴリは急流域に分布するため、あまりホバリングしないようです。
流れがあったほうが、本来の生態を観察できると思われます。
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